ケータハム 試作EV、7月デビューへ 車重701kg、最高出力326psの電動セブン 

公開 : 2023.05.24 18:05  更新 : 2023.07.12 17:43

ケータハム・セブンのEVバージョンのプロトタイプが、7月の「グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード」で披露される予定です。軽量スポーツカーを目指すケータハムの実験的な試みとされています。

実験的プロトタイプ 7月一般公開

ケータハムは、セブンのEVバージョンのプロトタイプを製作し、7月に開催の自動車イベント「グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード」で披露する予定だ。

このプロトタイプでは、最高出力240psのセブン485に匹敵する性能と、サーキットで20分間フルパワーで走行できるほどのバッテリーパワー、最大150kWの充電器で15分で満充電できることを目標としている。

ケータハム・セブンのEVバージョン
ケータハム・セブンのEVバージョン    ケータハム

ケータハムのボブ・レイシュリーCEOはAUTOCARに対し、このプロトタイプはEVの「実験的な試み」であるとし、「パートナーとの協力を頼りにしている」と述べた。

プロトタイプの製作には、英国ツーリングカー選手権(BTCC)のエンジンサプライヤーであるスウィンドン・パワートレイン社が関わっている。

以前は日産ニスモに勤め、昨年7月にケータハムに入社したばかりのレイシュリー氏は、「明日にでも売るようなものではない」としている。「ケータハムは、ビジネスとして成立する適切な時期に販売するつもりです」

すでに顧客からの問い合わせもあるが、現時点では「行列ができるほどではない」という。

サーキットの要求に応える軽量なEVスポーツカーは、「誰もが考えるEVの作り方とは真逆」であり、開発の難易度は高い。

EVのプロトタイプは、最新世代のセブンのシャシーを使用し、エンジンとトランスミッションの代わりに50kWh(実質容量38kWh)のバッテリーを搭載している。最高出力326psの電気モーターとリミテッド・スリップ・ディファレンシャルは、通常トランクがある場所に収納される。

また、セブンのドディオン・リアアクスルが採用されており、これはセブンCSRが採用している完全独立型のウィッシュボーン式よりもコンパクトだという。

最大の目標は150kWの充電速度で、スウィンドン・パワートレイン社によれば、バッテリーパックを冷却する誘電流体を備えているため、実現可能であるとのこと。

バッテリーパックは「開発の大部分を占める」ものであり、熱の管理が課題とされている。同社のラファエル・カイエ社長は、このシステムは「今あるものを少し進化させたもの」であり、ケータハムは「積極的な目標重量を設定」してきたと話す。

車重はガソリンエンジンのセブン485の626kgから、EVのセブンで701kgとなり、人間1人分とほぼ同じ重さが増えるとレイシュリー氏は言う。

重量と並んで大きな課題となっているのは充電速度だが、軽量化のため、プロトタイプには車載充電器がない。

「わたし達は、現在生産しているクルマと比較できるようなクルマを作りたかったのです」とレイシュリー氏は語る。

「(セブン485が700kgになるよう)バラストを積んで、スネッタートンで一日中走らせました。700kgのセブンが価値観に忠実かどうか、懐疑的な意見が非常に多かったと思うんです。否定的な人たちも改心したとは言えませんが、非常にポジティブなコメントをもらいました」

「未来のケータハム・セブンは、約束を守るものでなければならないと考えています。わたし達はシンプルに、すでに存在するものの性能に合わせようとしています」

レイシュリー氏は、市販化を前提とするプロジェクトではないとしながらも、「ビジネスケースがある限り、何でもやる」と語った。

プロトタイプは7月にグッドウッドで披露された後、デモカーとして使用される予定だ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・プライヤー

    Matt Prior

    英国編集部エディター・アト・ラージ
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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