歴史の浅さを感じさせない シャオペンP7 ロングレンジへ試乗 276psで後続576km

公開 : 2023.06.06 08:25

テスラ・モデル3やBMW i4のライバルとなる、シャオペンP7。欧州上陸を果たす電動サルーンを、英国編集部が評価しました。

2023年にはスウェーデンなどで販売開始

今回試乗した電動サルーンのシャオペンP7は、中国本土では2020年に販売がスタートした。同社のベストセラーなだけでなく、大型SUVのG9とともに、欧州市場へ進出するうえで重要な先鋒を担っている。

ノルウェーでは2021年に発売されており、2023年からはスウェーデンやデンマークでも買えるようになる。英国での展開も計画にはあるが、右ハンドル仕様の準備には時間がかかり、具体的な時期は決まっていないそうだ。

シャオペンP7 ロングレンジ(欧州仕様)
シャオペンP7 ロングレンジ(欧州仕様)

P7のスペックシートを確認すると、なかなか訴求力のある数字が並ぶ。メルセデス・ベンツEQEBMW i4といった、プレミアム・ブランドのバッテリーEV(BEV)とも引けを取らない。

P7の寸法は、全長が4888mm、全幅が1896mm、全高が1450mm。ちなみにi4は、4783mmと1852mm、1448mmとひと回り小さい。

ベースとするプラットフォームは、自社開発のエドワード・アーキテクチャ。SUVのG9とも共有している。シングルモーターの後輪駆動と、ツインモーターの四輪駆動が用意されるが、今回試乗したのは276psと44.8kg-mを発揮する前者となる。

駆動用バッテリーは、実容量で82.7kWh。航続距離は576kmと不足なく、0-100km/h加速を6.7秒でこなす活発さを備える。

ツインモーター版は、システム総合で472psを発揮。0-100km/hは4.1秒とさらに鋭い。駆動用バッテリーは同じものが積まれ、電動パワートレインの電圧は400V。急速充電能力は175kWまで対応する。

スリークなスタイリング 電費は5.9km/kWh

P7の特徴といえるスリークなスタイリングは空力特性にも優れ、エネルギー効率を高めている。従来的なサルーンと、ハッチバックのグランクーペの中間のようなシルエットで、空気抵抗を示すCd値は0.236に抑えたという。電費は5.9km/kWhだ。

引きで見るとテスラモデルSと似ているように感じるが、シャープなヘッドライトのおかげで、ロボットのような個性も得ている。驚いたことに、オプションでフロント側にガルウイングドアも指定できるという。

シャオペンP7 ロングレンジ(欧州仕様)
シャオペンP7 ロングレンジ(欧州仕様)

インテリアは、シャオペンがVIPラウンジと表現するデザイン・コンセプトで仕立てられている。ダッシュボードの上部に、メーター用モニターと繋がったタッチモニターが据えられている。内装の製造品質は悪くない。

車載機能の殆どはタッチモニターを介して操作することになるが、もっと実際に押せるハードボタンが欲しいと感じてしまう。テスラに乗り慣れているドライバーなら、違和感はないと思うが。

ドライブモードと回生ブレーキの効きを変更するには、タッチモニターからメニューを2段階掘り下げる必要がある。構造としてはわかりやすいものの、正直なところ手間だ。

アリングホイールには、タッチセンサーの他に、親指でスクロールできるスイッチが備わる。エアコンの温度やステレオの音量を調整できるのだが、ユーザーの好みで機能を割り当てられれば便利だろう。筆者なら、ドライブモードのセレクターにしたい。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジェームス・アトウッド

    James Attwood

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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