4. レンジローバー・スポーツP530

新型レンジローバー・スポーツは、最もドライビングに特化したクルマというわけではないが、その総合力の高さは他の追随を許さない。もちろん、走り好きのドライバーを飽きさせない十分な速さもあるが、「レンスポ」の真の才能は、これを驚くほどの高級感と快適性、洗練性と結びつけていることだ。そしてもちろん、路面が不安定な状況でもうろたえない能力も備えている。

本稿執筆時点では、高性能のSVRは存在しないので、パフォーマンスの頂点に立つのはP530である。旧型の5.0L V8スーパーチャージャーを改良したもので、最高出力530ps、0-100km/h加速4.5秒、2500kgをわずかに下回る重量を考えれば、決してみすぼらしいものではない。

4. レンジローバー・スポーツP530
4. レンジローバー・スポーツP530

重量といえば、重い車体がもたらす悪影響を軽減するために、さまざまなサスペンションのトリックが隠されている。デュアルチャンバー・エアスプリング、48Vアクティブ・アンチロールバー、リミテッド・スリップ・リア・ディファレンシャル、四輪操舵などが、P530のハンドリングを驚くほどクイックにしている。

しかし、サスペンションを緩めると、ほぼ無音で漂い、美しい細工と上品な仕上げのインテリアとマッチした高級感を漂わせる。そして、ヒマラヤのシェルパのように軽快に、荒れた路面を乗り越えていくのが、このクルマの真骨頂なのだ。

5. ポルシェカイエン・ターボ

これは、現実的な意味で、最も速いSUVである。カイエン・ターボは、その優れた視界と非常に有能なシャシーのおかげで、どんな天候でも、他車よりも速くA地点からB地点へと移動することができる。

しかし、3代目となった現行型カイエンは、印象的なパフォーマンスSUVであった先代モデルの鋭さや後輪駆動チックな味わいを若干失っている。この2.3トンのSUVが方向転換するエネルギーは、依然として驚異的だが、カイエン・ターボのこれまでの熱狂的な気質は、以前よりも居住性が高く、幅広い魅力を持たせるために、一段低くなったように感じられる。

5. ポルシェ・カイエン・ターボ
5. ポルシェ・カイエン・ターボ

6. アウディSQ7

SQ7は当初、高速かつ優れたコントロール性を持つSUVというコンセプトを、ライバルとは少し異なる方法で完成させたことで注目を集めた。その中心は4.0L V8ツインターボディーゼルで、驚異的なスピードだけでなく、比較的妥当な燃費も実現している。

しかし、2020年、アウディはこのディーゼルを廃止し、アウディのRSモデルからベントレーやポルシェまで、あらゆるモデルに搭載されている4.0L V8ツインターボガソリンエンジンに変更した。このエンジンは、最高出力507psと最大トルク78.5kg-mを発生する強力なものだ。

6. アウディSQ7
6. アウディSQ7

SQ7は速くて、洗練されていて、7人乗りのスペースがあり、非常に快適なクルマなのだ。ドライバーを惹きつける力としては、ポルシェやアルファ・ロメオジャガーのようなスポーツカーブランには及ばないものの、サイズの割にハンドリングもいい。ただ、新しいV8ガソリンは、確かに驚異的なエンジンかもしれないが、以前のディーゼルほど個性的ではない。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジェームス・ディスデイル

    James Disdale

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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