アジアの巨人「ヒョンデ」「BYD」、日本市場の戦いぶりは? ポイントは信頼・価格帯
公開 : 2023.05.27 21:38 更新 : 2023.05.27 22:30
広い!俊足!「アイオニック5」
そもそも「アイオニック」シリーズは、ヒョンデが2021年3月に登場した「アイオニック5」でEV専用ブランドとして使われるようになったものだ。アイオニック6と合わせた計2台が現時点でのラインナップとする。
そのアイオニック5は日本でも「2022-2023インポート・カー・オブ・ザ・イヤー」を受賞するなど、その評価は極めて高い。
筆者もこれまでにも何度か試乗しているが、その仕上がりは素晴らしいものだった。運転席に座れば質の高い内装が広がり、電動車ならではの特長を活かした“足元の広さ”も印象的だ。後席での居住性も高く、大人でもゆったりと座れそうだ。
走り出せば、強烈なトルクが高速域まで一気に引っ張り上げる俊足の持ち主。バッテリーをフロアに内蔵する「E-GMP」プラットフォームによって低重心化が効いて、操安性も文句ない仕上がりだ。
少し足回りが堅めとなっているが、若干道路の継ぎ目を拾うぐらいで、これも決して不快な感じはしない。回生ブレーキはパドル操作で強さを3段階に調整可能で、ワンペダルドライブにも対応する。
快適装備や安全装備も満載しており、とくにウインカーを出した方向の「斜め後方」を映像でメーター内に表示する機能はレーンチェンジなどで重宝する。ウインカーレバーが国産車と同じ右側にあるのもありがたい。
見逃せないのは、輸入EVとしては数少ないV2Hへの対応も果たしていることで、これによりCEV補助金の満額が受け取れる。
「ネッソ」 パッケージングに注目
燃料電池車「NEXO」はどうか。燃料電池車だけに何と言っても航続距離の長さがウリだ。
水素をフル充填した走行可能距離は820km(WLTC)を実現しており、エアコンなどを使っても軽く500~600km程度は走れそうだ。車体デザインは、シャープさが際立つアイオニック5に対して、全体として丸みを帯びた柔和なイメージを伝えてくる。
車内は十分な広さがあり、SUVらしい“ゆったりとした乗車”ができる。ラゲッジルーム床下に3本の水素燃料タンクや駆動用バッテリーを搭載しながら、ここまでのスペースを確保しているのは評価していいと思う。
日本市場への導入にあたっては右ハンドル仕様とした上に、ウインカーレバーを右側にするなど、細かくローカライズされている。ただ、アイオニック5で対応したカーナビは搭載せず、カーナビ機能としてはCarPlayやAndoroid Autoを使うことになる。
走りは電動車らしい素晴らしいものだった。
アクセルを軽く踏んだだけでモーター駆動らしい太いトルクで、車重1870kgのボディを軽々と運んでくれた。どの速度域でも俊敏に反応し、市街地はもちろん、高速道路の流入でも力不足は微塵も感じさせない。
サスペンションがややフワつく印象はあるが、路面との設置感は十分でカーブが多い首都高での走行でも安心して走りきることができた。