970ccの4スト4気筒 スズキSC100(セルボ) 英国版中古車ガイド 英国ライターのお気に入り

公開 : 2023.06.07 08:25

アナログでシンプルなスズキ

SC100は、英国では1982年までスズキ・ディーラーに並び、約4700台が売れている。今でもナンバー登録され、走れる状態にあるのは僅か21台。ほかに81台が一時抹消状態にあると思われる。ただし、これ以外にも多くのマニアが日本から個人輸入している。

希少になった現在では、アナログでシンプルなスズキを愛するマニアの間で特に注目度が高い。改めて、往年のチャーミングさに触れてみるのも悪くないと思う。

スズキSC100(セルボ/1979〜1982年/英国仕様)
スズキSC100(セルボ/1979〜1982年/英国仕様)

新車時代のAUTOCARの評価は

高速道路を選ばなければ、市街地でも郊外でも運転は楽しい。ステアリングホイールは軽快に回せ、感触も充分。活発な操縦性自体がエンターテイメントといえる。ボディロールは抑制され、リアタイヤをスライドさせることも簡単だ。

キビキビとシャープなレスポンスが爽快。ミニと同じくらい、楽しいドライビング体験を得られる。(1980年3月8日)

スズキSC100(セルボ/1979〜1982年/英国仕様)
スズキSC100(セルボ/1979〜1982年/英国仕様)

オーナーの意見を聞いてみる

アラステア・クレメンツ氏

「13歳の時にウィズキッドを見て以来、ずっと欲しいと思っていました。自分の父は、まったく関心を示しませんでしたが。10年後に経済的な普段用のクルマを探していた時に見つけて、即決したんです」

スズキSC100(セルボ/1979〜1982年/英国仕様)
スズキSC100(セルボ/1979〜1982年/英国仕様)

「そのクルマを気に入っていましたが、婚約指輪を買うために惜しみつつ売りました。しかし、しばらくして別の1台を妻がプレゼントしてくれたんです。結婚して良かったと思った瞬間でしたね。それから18年、今でも大切にしています」

「優れたステアリングを備えた、リアエンジンのミニクーパーのようです。ヒルクライムやラリーにも出ました。ボディのサビが進行し、修復して以降は穏やかに乗るようにしています。今では4台所有していますが、このスズキなしでは生きていけません」

購入時に気をつけたいポイント

エンジン

適切にメンテナンスしていれば、4気筒エンジンは堅牢。既に40年以上前のクルマだからコンディションを優先し、これまでの整備記録をさかのぼり、不自然なノイズがないか確かめたい。タイミングベルト交換の履歴は要確認。

燃料ポンプはメンテナンスフリーではない。エグゾースト・マニフォールドなどは入手が難しい。リアシート側の小さな点検口から状態を確認できる。オーバーヒートの痕跡や、排気ガスが青白く煙っていないかも観察する。

トランスミッション

スズキSC100(セルボ/1979〜1982年/英国仕様)
スズキSC100(セルボ/1979〜1982年/英国仕様)

4速MTは、感触が良いわけではないものの高耐久。リンケージ部分のゴムブッシュをポリウレタン製に交換すると改善できる。クラッチは消耗しやすく、交換部品は高めだ。

ブレーキ

不具合を抱えやすく、修理にはそれなりの金額が必要。特にフロントのブレーキディスクは腐食して駄目になる。ブレーキホースの状態も要確認。

ハンドブレーキやリア・ドラムブレーキのシリンダーが固着することも。ドラムブレーキの交換部品は発見が難しい。試乗時は、ブレーキング時に真っ直ぐ進むかも確かめたい。

電気系統

新車時は信頼性に優れていたが、既に40年以上経つため、トラブルが起きても不思議ではない。ハーネスの不良などで出火する場合もあるようだ。

ボディとサビ

多くの古い実用車と同様に、SC100のアキレス腱となるのがサビ。サイドシルやフロアパン、リアピラー周りが特に錆びやすく、修理も難しい。リアフェンダーやサブフレーム・マウント周辺、ドアのエッジ部分も弱点。

リアフェンダーは、初代フォードフィエスタのパネルを流用できる。実は形が近い。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マーク・ピアソン

    Mark Pearson

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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