都市部前提の安価グレード キア・ソウルEV 39kWhアーバンへ試乗 競争力は充分

公開 : 2023.06.08 08:25

キアのコンパクト電動クロスオーバー、ソウル。バッテリーを小さくし安価に抑えた新グレードを、英国編集部が評価しました。

短距離移動メインのユーザーがターゲット

額面通りの内容といってイイ。標準のキア・ソウルEVには64kWhの駆動用バッテリーが載るが、こちらには39.2kWhと、小容量のユニットが選ばれている。グレードはアーバンを名乗り、1度の充電で走れる距離は短いものの、低価格へ抑えられている。

都市部など、速度域が低く短距離移動が中心のユーザーをターゲットにした、ソウルEVだ。急速にラインナップが拡充される、キアのバッテリーEV(BEV)の間口を広げることになる。

キア・ソウルEV 39kWhアーバン(英国仕様)
キア・ソウルEV 39kWhアーバン(英国仕様)

英国価格は3万2845ポンド(約528万円)から。新しい7シーターのSUV、EV9とは対極的なポジションで、安価なBEV市場をリードするキアの立場を守る役割を担う。今後、ピカントの後継モデルとなるBEVも登場するはずだが、まだ数年は先だろう。

ソウルEV アーバンは、そのひとつ上のグレード、ソウルEV エクスプローラーより約6200ポンド(約100万円)安い。それでいて、不満ない動力性能と運転のしやすさを叶えている。競争の激しいセグメントにあって、訴求力は高い。

この価格帯では最も好印象なモデルだと、英国編集部では以前からソウルEVを評価してきた。よりお手頃に設定された、ライバルも存在するとはいえ。

時代を感じさせるインテリア

新グレードの設定に合わせて、スタイリングへも僅かに手が加えられている。新しいヘッドライトやフロントグリルなどで、シャープな印象が強められた。このクラスのなかでは特徴的なスタイリングといえ、活発な雰囲気を漂わせていると思う。

新しいキア・ニロも、ぐっとモダンな見た目を得た。それでも、全長4200mm前後のBEVとして、ソウルEVはしばらく堅調な支持を集め続けられるだろう。

キア・ソウルEV 39kWhアーバン(英国仕様)
キア・ソウルEV 39kWhアーバン(英国仕様)

ただし、近年のキアのラインナップでは少々登場が古い。インテリアには硬質なプラスティック製部品が多く、スイッチ類のデザインも時代を感じさせる。2023年の同社のイメージとは合致しないことは否めない。

ダッシュボード中央にはタッチモニターが据えられ、インフォテインメント・システムを利用できるが、内容はベーシック。メニュー構造がわかりやすく、無線でアップル・カープレイへ対応する点は褒められる。

ちなみにソウルEV アーバンの場合、運転支援システムをオフにできない。制限速度を超えた時の警告音も消せない。ゆっくり走った方が航続距離を伸ばせるが。

車内空間は、ボディの見た目以上に広い。ホイールベースは30mm伸ばされプジョー2008に並ぶほど長く、四角いシルエットと相まって頭上空間にもゆとりがある。荷室容量は315Lと、このクラスとしては大きい。

記事に関わった人々

  • 執筆

    フェリックス・ペイジ

    Felix Page

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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