手頃で運転しやすいコンパクトクロスオーバー 10選 実用的な日米欧メーカーの主力モデル

公開 : 2023.06.18 18:05

9. オペル/ヴォグゾールモッカ

ヴォグゾール(オペルの英国版)が2020年に2代目モッカを発売したとき、初代の不格好なデザインが、一気にファッショナブルなものへと変貌を遂げた。ステランティスの傘下で新しいデザイン言語をいち早く導入したモッカは、以前よりもずっとスマートで個性的なマシンとなった。

また、おなじみのガソリンやディーゼルに加え、EVのパワートレイン(モッカ・エレクトリック)も用意されている。後者は血縁関係にあるプジョーe-2008と同じセットアップで、最高出力136psのモーター、50kWhのバッテリー、320km強の航続距離を謳っている。

9. オペル/ヴォグゾール・モッカ
9. オペル/ヴォグゾール・モッカ

どのパワートレインを選んでも、楽しいというより堅実なハンドリングを持った気楽な仲間となるだろう。残念なのは、硬めのサスペンション設定が、開発エンジニアがむしろ楽しさを目指していたことを暗示していることだ。確かにボディロールは思ったより少ないのだが、ダイナミックな輝きがないため、硬めの乗り心地を正当化するのは難しい。

さらに、スタイリングにこだわったことで、先代よりも汎用性が低下している。リアシートの乗員スペースが減っただけでなく、トランク容量も360Lから350Lにわずかに縮小された。それでも、インテリアはスマートで、装備も充実しているし、運転席からの見晴らしも良好だ。

モッカのエレガントな外観には興味を惹かれるが、その他の部分は期待値に届いていない。

10. トヨタヤリス・クロス

トランクリッドに書かれているように、これはトヨタ・ヤリスのクロスオーバーバージョンである。90年代の初代RAV4は、オフローダー的なルックスにハッチバック的なドライビング・ダイナミクスとランニングコストを併せ持ち、コンパクトクロスオーバーの草分け的存在となったが、ヤリス・クロスは比較的後発のモデルである。

標準的なヤリスと同様に、トヨタのTGNAプラットフォームをベースにしていることから、キビキビとした操縦性、力強いグリップ、そして見事なまでにスムーズな乗り心地を実現している。従来の意味での面白さはないが、ボディコントロールには研ぎ澄まされた滑らかさがあり、取りこぼした要素はほとんどない。ガソリンと電気のハイブリッド・システムを搭載し、CVTとの組み合わせで、スムーズかつ驚くほど軽快に走る。街中では、短距離のEV走行も可能だ。

10. トヨタ・ヤリス・クロス
10. トヨタ・ヤリス・クロス

ヤリス・クロスは、全長をヤリスより伸ばしたことで少し実用性が高まり、特にトランク容量(397L)に関しては使い勝手が良くなっている。また、ややプラスチッキーではあるが、しっかりとした造りで、装備も充実している。角ばったホイールアーチの処理や背の高いスタンスなど、見た目も特徴的で、ライバル車よりも頑丈なSUVという雰囲気がある。

もっと運転が楽しくて、もっと実用的で、もっと高級感のあるクロスオーバーもあるが、ヤリス・クロスはランニングコストが安く、よく走り、花崗岩の塊のように頼りになることだろう。検討すべき1台である。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジェームス・ディスデイル

    James Disdale

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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