2.0Lターボ・クーペ比較 日産フェアレディZ 三菱スタリオン 200ZRはZ31のベスト? 前編
公開 : 2023.06.17 07:05
日本限定だった直6ターボを搭載するZ31型の200ZR。同時期のライバル、スタリオンと比較しながら英国編集部が振り返ります。
軽い2.0L直6ターボを搭載した200ZR
40年前、1983年に登場したZ31型のフェアレディZは、海外市場では300ZXから提供されていた。日本以外のダットサンファンは、Zカーのベーシックグレードとして受け止めていたはず。
エンジンは3.0Lの自然吸気V型6気筒。サスペンションはソフトで、アメリカを意識した2ドアクーペだった。しかし、軽量な日本独自のグレードが存在していた。ターボチャージャーで加給される、2.0L直列6気筒エンジンを搭載した200ZRだ。
Z31型では、快適性を高めたことで車重が増え、従来からスポーティさが薄まっていた。200ZRは、それに対する日産からの回答ともいえた。ご当地の人だけが味わえた、軽く鋭敏なフェアレディZだった。
ミドルサイズのクーペにとって、世界最大の市場といえたのが北米。フェアレディZは1969年の初代、S30型から2代目のS130型へ至るまで、安定的に7万台前後が売れている。同時期のマツダRX-7やトヨタ・スープラを、大きく引き離す支持を集めていた。
欧州市場でも、S30型の280ZXが1975年に発売されている。ところが、快適性を重視したクーペとして評価は伸び悩んだ。1983年には、Z31型の300ZXが英国にも上陸しているが、北米のようなファン層を築くことはできなかった。
そのかわり、より安価で軽量な三菱スタリオンが、ロンドン郊外の一般道を軽快に駆け回っていた。300ZXは、少々割高な日産に感じられたことは事実だろう。
S130型で登場した直列6気筒ターボ
三菱がスタリオンに2.0Lターボエンジンを搭載した理由は、日本の課税制度にある。2.0L以上の排気量の場合、毎年支払う自動車税が高くなるためだった。実際、初代のS30型フェアレディZにも、2.0Lエンジンを積んだモデルが存在していた。
しかし1980年代初頭、信頼性に優れ低価格なターボチャージャーが普及。自動車税を増やさずに、高性能モデルを提供する手段が誕生した。その後の10年間で、多くの日本製スポーツモデルがターボエンジンを獲得していったことはいうまでもない。
日産がターボを採用し始めたのは、Z31型の先代となる2代目のS130型から。2.8L直列6気筒エンジンに追加され、1981年から英国でも280ZXターボとして販売されている。
翌年には、日本仕様として2.0L直列6気筒エンジンにターボを搭載。ただしブースト圧が低く、インタークラーも介せず、最高出力は控えめではあった。
その2年後、新設計のエンジンを獲得したZ31型へフェアレディZはモデルチェンジ。メルセデス・ベンツに技術的なルーツを持つ、リバースフローのシリンダーヘッドを載せた、直列6気筒「L型」ユニットは廃盤となった。
世界市場へ提供されたのは、自然吸気かターボ過給される3.0L V型6気筒、VG30型ユニット。日本では、排気量の小さいVG20型のV型6気筒2.0Lターボも用意された。