見た目そのまま内面一新 ボルボC40 リチャージ・シングルへ試乗 航続距離476kmへ
公開 : 2023.06.10 08:25
モデル中期のマイチェンを受けたC40。スタイリングはそのままに、新開発のモーターを獲得したシングルを英国編集部が評価しました。
新開発の駆動用モーターで後輪駆動へ
内燃エンジンから電気モーターへの転換は、自動車業界での当たり前も覆そうとしている。これまでモデル中期のフェイスリフトといえば、スタイリングやインテリアの刷新が中心だった。しかしボルボC40 リチャージの場合、見た目は発売当時のままだ。
しかし、それ以外の部分へ確かな改良が加えられた。外見に騙されてはいけない。特に電動パワートレインのアップデートは大々的といえ、今回試乗したシングルモーターの場合、駆動輪がフロントからリアへ変更されている。
ちなみに、ボルボで後輪駆動を選択できるようになったのは、25年前に生産終了を迎えた940以来。バッテリーEV(BEV)のダイナミックな進歩と、クラス内での激しい競争をうかがわせる内容ともいえる。
ボルボXC40とボディ違いの兄弟モデルといえるC40は、航続距離や電費、急速充電能力などで、同価格帯のモデルでは少々遅れを取っていた。そこで大型SUV、XC90の後継モデルとなるEX90の技術などを活用し、実力を大幅に高めてきた。
C40のリアアクスルを動かす新開発の駆動用モーターは、EX90ではフロントアクスルを担当するユニット。従来は社外品を用いていたが、今回は独自開発のアイテムで、トランスミッションと一体になった構造により電費効率も高めている。
穏やかな走りが似合うクロスオーバー
駆動用バッテリーは冷却システムがアップデートされ、最も高効的に働ける温度へ保たれるようになった。DCで最大130kWまでと、充電速度も高速化されている。ただし、テスラ・モデルYは250kW、ジェネシスGV60は350kWまで対応させているが。
C40のシングルモーター仕様、リチャージ・シングルの場合、駆動用モーターとバッテリーには2種類が用意される。1つが238psの最高出力と67kWhの容量が組み合わされたもの。もう一方は、251psに79kWhが組み合わされたものとなる。
英国へ導入されるのは前者のみ。今回試乗したのは、開発終盤のパワフルな後者だった。
ボルボの塗装色を記憶していない限り、マイナーチェンジ後のC40だと見た目から判断することは難しいだろう。とはいえ、スカンジナビアン・デザインの上品さを漂わせるスタイリングは、今でも新鮮さを保っていると思う。
前輪駆動から後輪駆動へ変化したとしても、運転体験に大きな違いが及んでいるわけではない。落ち着いた色調のボディカラーのように、穏やかな走りが似合う。
実際のところ、アクセルペダルを強く踏んでリアタイヤが蹴る振る舞いを体感しない限り、駆動輪が違うこと自体も気づきにくい。リアタイヤが主体の、活発なコーナリングを楽しめるわけではない。