BMW428iグランクーペ・ラグジュアリー
公開 : 2014.07.26 15:25 更新 : 2017.05.29 17:59
シャシーの仕上がりもしかり。フロントでは指1本半ほどのクリアランスを設けて置かれたバンプストッパが効く前はスルスルとアシが動いて乗り心地を確保し、それが効いた後はどっしり踏み堪えるという二面性はグランクーペでも同様だ。基本的にリヤ優勢の前後バランスに徹しているところも一緒。ロール軸も相変わらず前下がりで、旋回中に路面不整に遭うと、対角線を軸に覚束ない動きをして上屋のダンピング不足を露呈するあたりも相似形だ。付記するとすれば428iに標準装備された可変ギヤ比ステアリングについてだろう。それは前の世代ほどドライバーの感覚を混乱させることはなくなったが、それでもリヤ操舵と組み合わせた5シリーズほどの洗練性には至っていない。リヤ優勢のこのシャシーは、フロントが負けそうになったとき、転舵時ネガキャン移行率の高い前サスと、対地キャンバがポジ側に崩れたときでもグリップ力を保持する最近のタイヤ性能に助けられて、舵角をもうひと息増せば曲がりを確保できるのだが、そういう増舵に電制が対応できずにフィールが混濁する。一方で、2速で曲がるようなタイトな峠の振り返しでは、その増速効果が有難くなる場合もある。
という具合に、走りはセダンの328iと選ぶところはないのだが、考えてみればそれは凄いことでもある。BMWはリヤ上屋の剛性を硬めて、その走りの精緻な切れ味を担保するクルマ作りをする。だが、リヤにゲートを設けて大孔を開けたら、普通は確実に剛性は落ちる。リヤ上屋はリヤシェルフとCピラー周りの結合で硬めるしかない。だからシェルフのないハッチバックは大いに不利である。にもかかわらず、グランクーペに、後ろがとりたてて弱くて、トラクションが逃げたり甘くなったりする感じはほとんど見られなかった。鋭いハーシュを食らった際に、リヤが横にブルンと共振する傾向が見られたくらいである。このへんのノウハウはさすがBMWと言うしかない。
(文・沢村慎太郎 写真・花村英典)
BMW428iグランクーペ・ラグジュアリー
車両価格 | 670.0万円 |
0-100km/h | 6.0秒 |
最高速度 | 250km/h |
公称燃費(EU混合) | 15.9km/ℓ |
CO₂排出量 | 147g/km |
車両重量 | 1630kg |
エンジン型式 | 直4DOHCターボ, 1997cc |
エンジン配置 | フロント縦置き |
駆動方式 | 後輪駆動 |
最高出力 | 245ps/5000rpm |
最大最大トルク | 35.7kg-m/1250-4800rpm |
馬力荷重比 | 150ps/t |
比出力 | 123ps/ℓ |
圧縮比 | 10.0:1 |
変速機 | 8段A/T |
全長 | 4640mm |
全幅 | 1825mm |
全高 | 1395mm |
ホイールベース | 2810mm |
燃料タンク容量 | 60ℓ |
荷室容量 | 480-1300ℓ |
サスペンション | (前)マクファーソン・ストラット |
(後)5リンク | |
ブレーキ | (前)Vディスク |
(後)Vディスク | |
タイヤ | (前)225/40R19 |
(後)255/35R19 |