乗用車に迫る洗練性 フォルクスワーゲン・アマロック 2.0TDI スタイルへ試乗 フォードとコラボ

公開 : 2023.06.13 08:25

フォード・レンジャーと共同開発された2代目アマロック。2.0TDIエンジンのお手頃な仕様を、英国編集部が評価しました。

フォードよりプレミアムなポジショニング

フォルクスワーゲンのピックアップトラック、2代目アマロック 2.0TDI スタイルの英国価格は、5万931ポンド(約820万円)。ラダーフレーム・シャシーやパワートレインなどを共有する、兄弟モデルといえるフォード・レンジャーより若干高い。

どちらも南アフリカの工場で生産され、同じタイミングで英国の各ディーラーへ並ぶことになる。フォードは、レンジャーで優勢なシェアを維持し続けている。一方のフォルクスワーゲンは、ピックアップトラックの分野では新参といっていい。

フォルクスワーゲン・アマロック 2.0TDI スタイル(英国仕様)
フォルクスワーゲン・アマロック 2.0TDI スタイル(英国仕様)

ライフスタイル・ピックアップという、プレミアムなポジショニングがアマロックへ与えられているが、価格差へ納得する違いはあるだろうか。今回は英国の一般道で、その実力を確かめてみることにした。

2代目はフォードと共同開発されたことで、先代よりパワートレインの選択肢は拡大している。ボディはダブルキャブのみだが、エントリーグレードとして、170psを発揮する2.0L 4気筒ターボディーゼルも選べるようになった。

その場合、英国価格は税抜きで約3万5000ポンド(約563万円)から。他方、3.0L V6気筒ツインターボ・ディーゼルを搭載する上級グレードでは、倍近い約5万8000ポンド(約933万円)へ上昇する。

その中間に位置するのが、試乗した2.0Lツインターボ・ディーゼルを積んだ2.0TDI。最高出力205ps、最大トルク50.9kg-mとたくましく、乗り心地は充分に快適。まったく不満のない選択肢だと思った。

共存するフォードの部品と調和した車内

ダブルキャブの車内には、前席にも後席にも大人がゆったり座れる空間がある。フォルクスワーゲンによると、ホイールベースが伸ばされたことで、先代から前後長が大幅に伸びたそうだ。フロント側はパワーシートで、快適な運転姿勢に落ち着ける。

インテリアを観察すると、シフトレバーやドアのスイッチ類、ウインカーレバーなどはフォード製なことがわかる。しかし、ステアリングホイールはフォルクスワーゲン独自のもの。2つのブランドの部品が共存しているが、うまく調和している。

フォルクスワーゲン・アマロック 2.0TDI スタイル(英国仕様)
フォルクスワーゲン・アマロック 2.0TDI スタイル(英国仕様)

知覚品質的には、ピックアップトラックとして考えればかなり高級といえる。ダッシュボードの上面は合成皮革で覆われるなど、素材の質感も高い。硬質なプラスティック然とした部品も、ゼロではないが。

ダッシュボードの中央には、縦に長いインフォテインメント用モニターが据えられる。フォードのシンク4と呼ばれるシステムがベースで、見た目はフォルクスワーゲン流に軽く手直しを受けている。操作性は良く、物理的なコントローラーも備わる。

メーター用モニターの描画は高精細。ステアリングホイールのスポーク部分には幾つかの実際に押せるハードスイッチが備わり、タッチセンサー式より遥かに使いやすい。手袋を付けたままでも扱える。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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