一番高いポルシェは? 2023年前半オークションで高額落札されたポルシェ トップ5

公開 : 2023.06.04 12:10

【第3位】 2005年 ポルシェ・カレラGT

高額落札車の3位に滑り込んだのは、959に続く限定版のスーパー・ポルシェとしてコレクターから評価されている「カレラGT」だった。

ポルシェ・カレラGTは、極秘のF1パワートレイン計画、ル・マン・プロトタイプのシャシーが原点にある。2000年のパリ・ショーにコンセプトカーとして姿を現し、2003年のジュネーブ・ショーで正式に発表された。

【第3位】 2005年 ポルシェ・カレラGT
【第3位】 2005年 ポルシェ・カレラGT    Patrick Ernzen/RMサザビーズ

レーシング・マシン直系だけに、CFRP製のモノコックタブの前後にサブフレームで構成。サスペンションはプッシュロッド式のダブルウイッシュボーンを備える。

ミッドに搭載されるのは挟角68度の水冷V型10気筒DOHC自然吸気ユニットで、5733ccの排気量から612psを発揮。ここに6速MTという組み合わせだった。

このように性能を追求したカレラGTは、最後のアナログスーパーカーといえた。6MTのみの設定で、最小限のドライバーズエイドしか持たぬ硬派な仕立てが特徴だった。

当初1500台が作られる予定だったが、最高の性能を備えるものの当時の販売価格で約5000万円と高価だったため、最終的に生産されたのは1270台に留まる。

ランキング3位に入ったカレラGTは、RMサザビーズ・アリゾナ・オークションに出品されたもので、シリアルナンバー825のアメリカ仕様車。

シールグレーのボディカラーにテラコッタレザーの内装という組み合わせを持つ。ポルシェオンラインプロCDラジオ、ラゲージバック一式などのオプションを備える。

新車でアメリカにデリバリー後アメリカを離れることはなく、出品時の走行距離は1万2921マイル(約2万674km)だった。

MTのみの設定でスタイリングも色気に乏しいカレラGTは、フェラーリのように高騰することはなかった。近年の最高値は2022年に走行182マイル(約291km)の新車同様車が220万ドル(約2億6180万円)だった。

事前に主催者から発表された予想落札額は120-140万ドルで、ここ1年の相場といえる額だった。最終的に順当といえる124万2500ドル(約1億6215万円)で落札された。

【第2位】 1987年 ポルシェ 959コンフォート

コレクターズカー・オークションにおいて邦貨換算で1億円以上の高額で落札されるモダーン・ポルシェのロードカーといえば、959とカレラGTがほとんどとなる。

911系は量産モデルだけに、よほどの条件が揃わないと1億円を超えることはないが、近年では73カレラ・ライトウェイトなどの何台かが1億円の壁を越えてきた。

【第2位】 1987年 ポルシェ 959コンフォート
【第2位】 1987年 ポルシェ 959コンフォート    Patrick Ernzen/RMサザビーズ

911ファミリーの中でもレーシング・マシンの935は別格で、2015年ごろから1億円オーバーの存在となり、最高で485万ドル(約4億8985万円)で落札されている。

2位となった「959コンフォート」はRMサザビーズ・アリゾナ・オークション出品車で、グランプリ・ホワイトの外装にダークブルーのレザー・インテリアという組み合わせ。

この959にはファクトリー・オプションのヒーター付き電動式フロントシートと、アラームシステムが装着されていた。

1987年12月にドイツで納車後、英国に渡り1989年6月に最初の登録がされた。その2ヶ月後にポルシェ・センター・レディングで速度計をマイル表示に交換。記録では2811kmの時点で換えられている。

1992年10月に959は新オーナーへ売却され、その後もポルシェ・センター・レディングで点検を受け、記録簿にはその後21年間の整備記録と走行距離が記録されている。

2021年秋に現オーナーであるカナダ人のコレクションに加わる。2022年10月にオイルと燃料フィルター、エアコン・コンプレッサーを交換されている。

誕生から36年を経ているだけに、経年の痛みからペイントワークは行われているが、インテリアはオリジナルのままであると思われる。

出品時は1万5071マイルで、メーター交換前の距離を加えた実走行距離は1万6818マイル(約2万6909km)で、36年経過したスーパーカーとしては望外の低さだ。

出品者が発表した予想落札額は160-200万ドルだった。オークションを終えてみれば低走行とコンディションが評価され168万2500ドル(約2億1957万円)と順当な額で落札された。

記事に関わった人々

  • 執筆

    上野和秀

    Kazuhide Ueno

    1955年生まれ。気が付けば干支6ラップ目に突入。ネコ・パブリッシングでスクーデリア編集長を務め、のちにカー・マガジン編集委員を担当。現在はフリーランスのモーター・ジャーナリスト/エディター。1950〜60年代のクラシック・フェラーリとアバルトが得意。個人的にもアバルトを常にガレージに収め、現在はフィアット・アバルトOT1300/124で遊んでいる。

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