一番高いポルシェは? 2023年前半オークションで高額落札されたポルシェ トップ5

公開 : 2023.06.04 12:10

【第1位】 1964年 ポルシェ 904 GTS(904-036)

ランキングのトップを一時的(詳細は後ほど)に獲得したのは、1963年に登場したレーシングGTの傑作といえる「ポルシェ 904カレラGTS」(以下904と称す)だった。

904は1964年のタルガ・フローリオでの1-2フィニッシュを皮切りに勝利を重ね、世界スポーツカー選手権GTIIクラス制覇を1964年から2年連続でポルシェにもたらした。

【第1位】 1964年 ポルシェ 904 GTS(904-036)
【第1位】 1964年 ポルシェ 904 GTS(904-036)    RMサザビーズ

RMサザビーズ・パリ・オークションに姿を現した904のシャシーナンバーは904-036で、最初のオーナーは後年ポルシェ・チーム入りするウド・シュッツだった。

シュッツ時代の904-036のベスト・リザルトは、1965年のニュルブルクリンク1000kmで、排気量の大きなフェラーリを相手に総合11位、クラス優勝を勝ち取っている。

シュッツは1965年シーズン後にオーストリア人に904を売却する。新オーナーは904-036でヒルクライムやレースに挑み、1966年のオーストリア・マウンテン・ヒルクライムのチャンピオンに輝いた。

1967年に904-036はアメリカに渡り、USRRCロードアメリカ500で総合9位を獲得したのちレースから引退する。その後4人のアメリカ人オーナーの許を移ってゆく。

2001年に伝説のレーサー、ボビー・レイホールが購入。彼のもとでフルレストアが行われ、ツアー・オートとルマン・クラシック参戦に向けた実戦的な改装が施された。

その後、ヒストリックレーサーとして知られる前オーナーが購入し、2018年のルマン・クラシックに出場。このイベントを経て、2019年に現在のオーナーが入手する。

最近の904の落札額を見るとミント状態が200万ユーロ前後で推移している。昨年30年間も寝ていた要レストアの904が出品され、61万4200ユーロ(約7924万円)と安価で落札され話題となった。

この904-036はヒストリックカー・レースやラリーに参戦するため、レヴカウンターを最新型に変えられているが、オリジナルのレヴカウンターも付属する。レースやラリーにそのまま参戦できる状態にあるだけに、走りを楽しむファンには絶好の1台といえる。

パリ・オークションでの予想落札額は200-225万ユーロだったが、最終的に210万ユーロ(約2億7300万円)で落札された。

しかし後日キャンセルされてしまったが、ひとつの記録としてあえて紹介した次第。オークションでは後日にキャンセルされるのは珍しくないことをお伝えしておこう。

記事に関わった人々

  • 執筆

    上野和秀

    Kazuhide Ueno

    1955年生まれ。気が付けば干支6ラップ目に突入。ネコ・パブリッシングでスクーデリア編集長を務め、のちにカー・マガジン編集委員を担当。現在はフリーランスのモーター・ジャーナリスト/エディター。1950〜60年代のクラシック・フェラーリとアバルトが得意。個人的にもアバルトを常にガレージに収め、現在はフィアット・アバルトOT1300/124で遊んでいる。

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