一気に存在感を高める可能性 シャオペンG9 AWDへ試乗 2340kgを軽々と動かす550ps

公開 : 2023.06.23 08:25

2340kgのボディを軽々と動かす550ps

今回の試乗車は、前後アクスルに駆動用モーターを1基づつ、合計2基が搭載されるツインモーターのAWDパフォーマンス。1基のみの、後輪駆動版も選べる。

AWDパフォーマンスでボディを進めるのは、後輪駆動版と同じく基本的にリアモーター。フロント側へは、必要な場合に電力が供給される。システム総合での最高出力は550ps、最大トルクは73.0kg-mとたくましく、2340kgあるボディを軽々と動かす。

シャオペンG9 AWDパフォーマンス(欧州仕様)
シャオペンG9 AWDパフォーマンス(欧州仕様)

0-100km/h加速時間は3.2秒が主張されるが、実際にアクセルペダルを踏んでみると、その勢いを実感できる。驚くほどリニアでスムーズに、スピードが高まる。

サスペンションは、エアスプリングが標準。試乗したネザーランドの路面は平滑だったこともあり、圧巻の乗り心地を味わわせてくれた。

ステアリングホイールの感触は淡白。軽くて回しやすいものの、操舵時の楽しさまでは備わらない。もっとも、大きな電動SUVを購入するドライバーが重視する項目とはいえないだろう。

AWDパフォーマンスの駆動用バッテリーは、ニッケルとマンガン、コバルトを主成分とする三元系リチウムイオン。容量は98kWhで、航続距離は519kmがうたわれる。シングルモーター版はリン酸鉄リチウムイオン・バッテリーで、78.2kWhとひと回り小さい。

試乗時の電費は約4.6km/kWhとなり、480km程度の距離を実際に走れるはず。現在のBEVとしては、充分な能力といっていい。

欧州でも一気に存在感を高める可能性

電動パワートレインは電圧800Vで稼働し、急速充電能力は最大300kWまで対応。最短5分で、100kmぶんの電気を蓄えられる計算になる。

また、カメラとセンサーを利用した自律運転システムも、独自で開発し実装されている。テクノロジーを強みに掲げるシャオペンらしい。

シャオペンG9 AWDパフォーマンス(欧州仕様)
シャオペンG9 AWDパフォーマンス(欧州仕様)

ネザーランドの価格から換算すると、G9 AWDパフォーマンスの英国価格は約6万3000ポンド(約1014万円)から。お手頃とは呼べないものの、該当するクラスで俯瞰すれば、競争力のある設定とはいえる。

上質なインテリアに先進的な技術、不足ない動力性能などを備えたG9は、訴求力が低くない。今後の数年間で、シャオペンが欧州でも一気に存在感を高める可能性は充分あるだろう。

シャオペンG9 AWDパフォーマンス(欧州仕様)のスペック

英国価格:約6万3000ポンド(約1014万円/予想)
全長:4891mm
全幅:1937mm
全高:1680mm
最高速度:199km/h
0-100km/h加速:3.9秒
航続距離:519km
電費:4.6km/kWh
CO2排出量:−
車両重量:2340kg
パワートレイン:誘導モーター(フロント)+永久磁石同期モーター(リア)
駆動用バッテリー:98.0kWh
急速充電能力:300kW(DC)
最高出力:550ps(システム総合)
最大トルク:73.0kg-m(システム総合)
ギアボックス:シングルスピード・リダクション

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジェームス・アトウッド

    James Attwood

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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