旧来的な「らしさ」を嗜む ポルシェ911(993型)  英国版中古車ガイド 最後の空冷911

公開 : 2023.06.15 08:25

新車時代のAUTOCARの評価は

ポルシェの技術者は、911が抱えていた弱点を克服。過去最もシャープな911が誕生したといえる。そして、最も親しみやすくもある。(1993年10月6日)

ポルシェ911 カレラ(993型/1993〜1998年/英国仕様)
ポルシェ911 カレラ(993型/1993〜1998年/英国仕様)

専門家の意見を聞いてみる

ロビン・シンプソン氏:ピアース&デイル社

「ピアース&デイル社を立ち上げる前は、ポルシェの英国ディーラーで10年ほど営業を担当し、店長も務めました。993型は常に数台、在庫として取り扱ってきています。この911は、硬い花崗岩で作られているかのようにソリッドです」

ポルシェ911 カレラ(993型/1993〜1998年/英国仕様)
ポルシェ911 カレラ(993型/1993〜1998年/英国仕様)

「細かい部分まで高品質に作られており、現在のモデルと同等に信頼性は高いといえます。もう、こんなスポーツカーが作られることはないでしょうね」

「弱点といえるのが、フロントガラス・フレーム部分の腐食。通常のメンテナンスを怠らなければ、大きな問題は生じにくいといえるでしょう」

購入時に気をつけたいポイント

トランスミッション

MTのクラッチは11万km程度は耐える。それ以上の走行距離ならクラッチ交換されていると考えて良く、正規ディーラーかポルシェを得意とするガレージで作業されたのか確認したい。

エンジン

エンジンオイルを多く消費する例がある。これまでのオーナーが、定期的にオイル交換を済ませてきたか確かめたい。オイル漏れにも注意。

ポルシェ911 カレラ(993型/1994年式/欧州仕様)
ポルシェ911 カレラ(993型/1994年式/欧州仕様)

バルブガイドの不調により、2次空気供給システムが正常に動かなくなる場合がある。ディストリビューターの内部ベルトも、状態を確かめたい。

ブレーキとサスペンション

ブッシュ類とショックアブソーバーは、6万km前後での交換が妥当。費用はサスペンションの仕様で異なる。

ブレーキは、ディスクやパッドの厚みを確認する。交換部品は安くない。

電気系統

パワーウインドウとパワーシートは故障しがち。予めすべての機能を動かして、状態を確かめたい。

ボディ

ドアを開閉した時に金属が当たる音がする場合は、ヒンジ部分の劣化が疑われる。修理すると高く付くものの、丁寧にドアを扱っている限り、そのまま乗っていても問題はないといえる。

993型には良質な亜鉛メッキ鋼板が用いられているため、基本的にボディは錆びにくい。それでも、ガラス周辺のラバーシールへ砂や水が入り込み、腐食を促すことがある。

ヘッドライト周辺にも汚れが溜まりやすく、腐食しがち。板金修理を受けているなら、その状態もチェックポイント。

カブリオレは、電動ソフトトップが正常に稼働するか確かめる。スイッチが故障しがち。手動での開閉も可能。ソフトトップ自体の状態も確かめたい。

記事に関わった人々

  • 執筆

    オリバー・ヤング

    Oliver Young 

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

関連テーマ

おすすめ記事

 

人気記事