BMW 330d vs 420d グランクーペ
公開 : 2014.10.04 23:30 更新 : 2017.05.29 19:33
4シリーズは間違いなくハンサムなクルマだ。4シリーズを見た後だと3シリーズはどうしても ’普通のセダン’ にしか見えない。4シリーズのスポーティなプロポーションがそうさせているのだろう。
細かく見ていくと、フレームレス・ドアやエレガントなルーフライン、目を引くディテールなど3シリーズよりも遥かに多くの ’仕掛け’ が用意されている。要するに3シリーズは、あくまで完璧な普通車に徹しているのだ。
ただし内装にはそれほどの差はない。もっと正直に言わせてもらうならば、4シリーズの内装デザインの担当者は、もう少し4シリーズらしさのある仕掛けを施すべきだったのだ。アーキテクチャや素材の選びかた(もちろん高級感はある)、フィニッシュまではほとんど一緒だと言っていい。強いていうならば4シリーズの方がわずかにシートが低く、Aピラーが寝そべっている分、’包まれ感’ はあると言ったところだろうか。
後部座席はルーフが低い分、天地方向の余裕は3シリーズの優勢。ただし荷室は3シリーズよりも4シリーズの方が狭小なのだけれど、フードがハッチバックみたく大きく上に開くためアクセスのしやすさは4シリーズの方が勝る。
今回のテストに借り出した2台は両方ともxDrive 4WDスポーツATと、可変Mスポーツ・サスペンション、Mスポーツ・トリムが組み合わされ、アロイ・ホイールのサイズやタイヤの銘柄まで同じだった。しかし興味深いのはエンジンの違い以上に、乗り味がはっきりと違ったという点。
もちろん乗り味の違いは、2台の構造上の違いが大きく起因している。特に4シリーズは、低くワイドになっているため、シャシーには特別なチューニングが施されているし、下級グレードと差別化を図るために、正確性や活発さを全面に押し出す仕立てとなっている。
実際に乗ってみても、やはり4シリーズの方が3シリーズよりも機敏で、ひとつひとつの所作にキレがあると感じる。もちろん両シリーズともに、コーナリング・バランスはかなり高いレベルにあるのだけれど、4シリーズの方がわずかにステアリングからの入力に対する出力がダイレクトなのである。
しかしその分3シリーズは出力とトルクで巻き返しを図る。420dの方はやはり2ℓ4気筒なりの力しかないのだが、330dはコーナーの出口で420dには無い力強いダッシュを見せてくれる。この点が、330dの楽しさに明確に寄与しているのだろう。実を言うとxDriveでさえ、コーナーの抜け出しではリアがやや落ち着かない時もあるのだけれど、それでも3シリーズの振る舞いのほうがナチュラルなのだ。
細かく見ていけば、330dのハンドリングは一人前のBMWと言ったところ。420dはもう少し磨きをかけるべきだと感じた。