実用的で「いざ」というとき頼りになるコンパクトSUV 10選 選択肢多すぎて羨ましい欧州市場

公開 : 2023.06.17 18:05

4. ヒョンデ・ツーソン

4代目ツーソンの登場は、ヒョンデにとってある種の分水嶺となった。スタイリング的には、少し野暮ったかった先代と一線を画し、インテリアの質感も新しい高みに到達した。ヒョンデは長い間、欧州で高級車として再ブランディングを試みてきたが、ツーソンはその中でも最も説得力のある取り組みといえる。

走りとしては、ダイナミックな動力性能よりも使いやすさを優先したハンドリングバランスで、かなり無難に仕上げているが、曲がりくねった道をペダルを踏んで走るのは十分に楽しいものだ。ハイブリッド・パワートレインは、力強いパフォーマンスと素晴らしい効率性を実現し、ヒョンデらしく、驚くほど充実した装備と鉄壁の保証でバックアップしている。

4. ヒョンデ・ツーソン
4. ヒョンデ・ツーソン

これまで以上に、洗練されたコンパクトSUVとして、ぜひとも注目していただきたい。

5. BMW X1

わたし達人間と同じように、BMW X1も年を重ねるごとに大きくなってきている。実際、2022年にデビューした最新の3代目のサイズは、理論的にはワンクラス上に位置する初代X3よりもビスケット1枚分くらいしか差がなくなってしまった。しかし、このサイズの拡大は、家族が増える人にとっては朗報である。なぜなら、より多くの人や物を室内に収めることができるからだ。

X1は、2シリーズ・アクティブツアラーと同じUKLプラットフォームを採用し、マイルドハイブリッド付きのガソリン車やディーゼル車から、2種類のPHEV、さらには航続距離438kmを謳うEVのiX1まで、さまざまなパワートレインが用意されている。いずれもステアリングは安定していて有能だが、おそらくBMWのマーケティング担当者が言うような「駆け抜ける喜び」を体現するものではない。グリップもボディコントロールも適度に良好だが、ステアリングホイールから伝わる情報量はほぼ皆無で、同価格帯の3シリーズ・ツーリングのしなやかな軽快感にはかなわない。

5. BMW X1
5. BMW X1

しかし、ほとんどのユーザーにとって重要なのは使い勝手の良さであり、X1のスコアは高い。運転操作は簡単で、無駄が少ない。インテリアは広々としていて、スライド式のリアシートや便利なトランクなど、欲しい機能がほぼ揃っている。一流の素材、洗練されたスタイリング、見た目も使い勝手も良いインフォテインメント・システムなど、上質さと品質もワンランク上の仕上がりとなっている。

6. 日産キャシュカイ

先代のキャシュカイは英国で高い人気を誇り、生産終了まで国内のコンパクトSUV販売チャートの頂点に立ち続けていた。最新型では、軽量化されたシャシーと大幅に改善されたダイナミクスに大きな期待が寄せられていた。

そして、そのような英国ユーザーの期待にはほとんど応えることができている。1.3Lガソリンのマイルドハイブリッドも、欧州初導入の「eパワー」ハイブリッドも、少し息苦しさを感じるパワートレインではあるが、期待すべきポイントは他にある。キャシュカイに試乗した英国編集部の記者が言うように、「家族向けに非常によく考えられた設計で、装備も充実しており、購入や運転にかかる費用もわずか」なのだ。

6. 日産キャシュカイ
6. 日産キャシュカイ

利便性がすべてだが、キャシュカイには2ペダルのCVTもあるものの、編集部はMTをおすすめしたい。なぜなら、ボディロールの洗練度が向上したからだ。

その他、ゲームチェンジャーと呼べるような革新的な要素は見られない。しかし、日産が顧客のことをよく理解していることがひしひしと伝わってくる。ノンプレミアムブランドの中で、このクルマに勝つのは難しいだろう。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジェームス・ディスデイル

    James Disdale

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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