なぜレクサスは電動化進む欧州でハイブリッドに期待するのか 「EVでない」からこその価値も
公開 : 2023.06.07 18:05
新型LBXを発表したレクサスは、EV化が進む欧州や英国でも、ハイブリッド車に強い自信と期待を寄せています。法規制に柔軟に対応しながら効率的にCO2排出量を削減できるほか、「非EV」ならではの価値もあるとのこと。
規制にも十分対応可能 中古車の価値にも期待
レクサスの欧州部門、レクサス・ヨーロッパ(Lexus Europe)を率いるディミトリス・トリポスピティス氏は、ガソリン車とディーゼル車の新車販売禁止が迫っているにもかかわらず、レクサスのハイブリッド車は依然として「適切」だとAUTOCARに語っている。
クルマのCO2排出量削減を推し進める欧州では、2035年以降にeフューエル(合成燃料)を使用する場合に限り、エンジン車の新車販売を容認する方針だ。ポルシェやマツダは合成燃料の研究開発に取り組み、ステランティスもeフューエルの適合性・耐久性テストを進めているが、さまざまな課題もあり、今のところ市場全体の電動化の流れを変えるには至っていない。また、EU(欧州連合)から離脱した英国の方針もまだ不透明である。
英国政府は2030年から「大幅なゼロ・エミッション性能(SZEC)」を持たない新車の販売を禁止する予定だが、メーカーにとってどのような意味があるかはまだ明確になっていない。その一方で、英国政府はゼロ・エミッション車(ZEV)の販売義務を導入し、来年からメーカーの新車販売台数の22%をZEVにすることを義務付ける予定だ。
先日発表されたばかりの新型レクサスLBXは、ガソリンエンジンと電気モーターを組み合わせたハイブリッド車である。英国では2024年第1四半期に納車開始の予定だが、トリポスピティス氏は、製品寿命が短い可能性があるが、心配はしていないと述べた。
「誰もがそうであるように、わたし達も多くの実地試験を行ってきました。今後数年間は、欧州市場の大半がまだEVに移行していないことは明白でした。つまり、ハイブリッド・システムは欧州大陸にふさわしい技術なのです」
「英国市場についてはもちろん、義務化を検討する必要があります。事態は非常に速く動いています」
「今後数年間は、この技術にはあらゆる利点があるため、ふさわしいものと信じています。第5世代のセルフチャージ式ハイブリッド(エンジンでバッテリーを充電する従来型のハイブリッド)は、多くの技術的な利点を備えています」
トヨタは自社のハイブリッド・システムに自信を持っている。AUTOCARの取材に対しては、英国でSZECとして認められるだけのゼロ・エミッション走行が可能だとしている。
トヨタUKの製造部門責任者であるリチャード・ケンワーシー氏は、「都市環境におけるハイブリッド車の走行時間の80%と、走行距離の50%がゼロ・エミッションであるということは実証できます」と語った。同氏はさらに、「ハイブリッドは、できるだけ早くカーボンを減らせるソリューションの一部であると信じています」と付け加えている。
新型LBXについては、プロダクトマネージャーのバート・イーレン氏が「50%以上のEV走行が期待できる」と述べ、CO2排出量は「120g/kmを容易に下回る」だろうとした。
また、トリポスピティス氏は、電動化比率の高い市場ではEVでない車両の中古車の価値が高いことも、心配する必要がない理由として挙げている。
「例えば、世界で最も電動化が進んでいるノルウェーでは、すでに85%がEVであるにもかかわらず、EVでない中古車の価値は非常に高い。このことは、英国での義務化が中古車市場に与える影響について、少なくともわたしがよく理解していなかったということを物語っています」
「供給量がそれほど多くないため、EVでない中古車を買い求める人は、もしかしたら高いお金を払って購入するかもしれないという意見もあります」
「今後数年間の新車販売において、英国はレクサスにとって重要な市場だと思いますし、このクルマがたくさん売れることを願っています」