スバル・レヴォーグ
公開 : 2014.06.26 14:26 更新 : 2017.05.29 18:42
振り返ればスバルの戦略は実に用意周到だった。昨年の米国LAショーで発表されたレガシィ・コンセプトとWRXを思い出して欲しい。WRXは実質的にはレヴォーグのセダンである。一方のレガシィ・コンセプトは、Eセグメントモデルにフルチェンジするための予告編だった。つまり極近い将来、レガシィはアウトバック(SUV/ステーションワゴン)とB4(セダン)を持ってEセグメントの高級拡大路線に移行、レヴォーグ(ツーリングワゴン)とWRX(セダン)でDセグメントを、インプレッサ系でCセグメントをカバーするというプランなのである。これは日本市場においても同様で、年内には新たなラインナップを発表・展開するだろう。
そうしたスバルの近未来のビジョンを確認したうえでレヴォーグをみると、このモデルの潔さともいうべきレヴォーグ=スポーツツアラーとしてのフォーカスが理解できる。全車シンメトリカル4WDで、1.6ℓと2.0ℓの直噴ターボにスバルがリニアトロニックと呼ぶCVTを組み合わせたパワートレイン、現行レガシィ比で40%アップというねじり剛性の向上、安全運転支援システム「アイサイト」のバージョンアップがトピックスだが、内外装におけるクルマそのものの質感向上や走りのレベルアップは著しい。なにせ、ドアの開閉音ひとつとっても違いが分かる。特に現行レガシィとの違いを顕著に感じ取れるのが、高速走行とワインディングの両シーンだった。
高速道路では直進安定が良く、しかも今まで以上に静粛性が高い。ロングドライブではこの静粛性が乗員の疲労に大きく影響するので、このクオリティアップは大いに歓迎したい。ワインディングロードではステアリングの操作に対してボディが遅れずについてくる印象で、自然なロール感が心地よい。これまでのような単に軽快なだけでなく、そこにボディやメカニズムの凝縮感が読み取れる、密度の高いコーナリングが楽しめると言い換えてもいい。