乗り心地を極める1台 ロールス・ロイス ベントレー レンジローバー BMW 5台直接比較 前編
公開 : 2023.06.17 09:45 更新 : 2023.06.19 08:40
高級車で重視される特性の1つが、快適な乗り心地。最新のベスト・コンフォートはどれなのか。英編集部が比較試乗で確かめました。
クラシックカーと一緒に乗り心地を比較
グレートブリテン島の南西部に位置する、ブレコン・ビーコンズ改めバンネ・ブライチェイニオッグは、広大な国立公園が広がる山岳地帯。最近、車列を組んでウェールズ王子が訪問し、英国内では注目が高まっているようだ。
今回、英国編集部も同じ場所へ5台で向かったのだが、なかなか壮観な車列になった。ドレスコードは設定されず、ラフな普段着のままだったから、紳士たちによるオーナーズクラブ・ミーティングに勘違いされることはなかっただろう。
われわれには、確かめるべきことが存在した。そのきっかけを作ったのは、F1ドライバーに登り詰めた実業家、ジョナサン・チャールズ・パーマー氏だ。
AUTOCARの読者だという彼は、先日お会いした際、現代的なモデルに対して1つの不満を口にしていた。動力性能とは異なり、乗り心地はさほど進化していないようだ、と。
「最も快適だとされる高級車を複数用意して、クラシックなクルマと一緒に比較するというのはどうでしょう。最新技術に対して考えを深める機会になるのでは」。そんな提案をいただいた。
彼の貴重なアイデアを、聞き流すことなどできない。そこで早速、英国編集部は動いた。
合計価格が約100万ポンドに達する5台
スタッフが用意したのは、ロールス・ロイス・ファントムVIIIにベントレー・フライングスパー V8アズール、ランドローバー・レンジローバー P440eオートバイオグラフィー、BMW i7 xドライブ60 Mスポーツという高級車4台。お値段順に並べると。
英国価格を合算すれば、約100万ポンド(約1億6000万円)に達する。ちなみに、パーマーはヘリコプター界の最高級ブランド、アグスタで飛んできた。なんともブルジョアな集まりだ。
さらにクラシックカーとして加わったのが、最近レストアされたばかりだという、1964年式のロールス・ロイス・シルバークラウドIII。筆者の友人で読者の1人、ジョー・ウォード氏が快く持ち込んでくれた。
乗り心地を測ることは複雑で、感じ方も主観的な偏りが生じやすい。そこで、マクラーレンF1の技術開発に関わった経歴を持つ、ランドル・エンジニアリング社のスティーブ・ランドル氏にも協力を仰いだ。客観的な判断をしてくれるに違いない。
AUTOCARでは、普段は様々な特性を総合的に判断しクルマを評価している。特定の1つにフォーカスを当てて、比較試乗することは珍しい。しかし、とても興味深い検証になることは間違いないだろう。
バンネ・ブライチェイニオッグの東側には、様々な路面が混在している。波打った区間があり、大きな窪みも放置されてる。崖へ沿うようにカーブが続き、大地とは関係なく路面はうねり、見通しの悪いヘアピンもある。シャシーの能力を引き出すのに好適だ。