トヨタ86 GT
公開 : 2014.05.26 17:20 更新 : 2021.01.28 18:11
ライトニングレッドの新型86は、ラインナップ中で上から2番目となるGTグレードのM/Tモデル。事前情報のとおりルーフ上にはシャークフィン型のアンテナが備わるが、それ以外の外観は従来型から変わりがない。ピットロードを加速してコースイン。すると新型86における足まわりのフィーリングの違いは、それほどペースを上げなくても感じられる。従来型では路面の凹凸をサスペンションが吸収しきれず、ボディを揺らして乗員に不快な振動を伝えてしまうようなケースがあったが、新型にはそれが少ない。故意に縁石を踏むような意地悪な走り方をしてみても、伝わる振動はカドがとれて、柔らかなショックとして乗員に届けられる。
フロントタイヤが掴む路面情報はステアリングに、リヤタイヤが掴む情報はドライバーの腰へと伝えられ、車両の状態が理解しやすい。車両全体の動きを俯瞰で見ているような感覚が得られるから、ペースを上げていってリヤタイヤがスライドを始めるようになっても、滑り出すタイミングも掴みやすく、クルマをコントロールする楽しさは健在。決して限界点そのものが高められたわけではないけれど、一定の線を超えるとスパッと流れるのではなく、自由にリヤタイヤを出し入れして動かせるようなフィーリングが得られる。低速域から高速域まで、全体的にカドがとれてマイルドな印象ではあるけれど、それこそが次世代の86らしさということだ。
そしてこの走りを生み出した足まわりの変更点こそ、ダンパーのフリクション特性および減衰力の変更と、サスペンション取り付けボルトの変更である。
サスペンション自体の変更ではなく、サスペンションボルトの変更がこれほどの効果をもたらすとは、正直、予想外だった。ボルトが変更されたとはいっても、取り付けポイントの数や位置が増やされたわけではない。ボルトの径や素材がよりカタいものへと置き換えられたわけでもない。ボルトとボディとの締結部分にあたるフランジが、より厚みのある仕様に変更されたというだけなのだけど、その効果は数値には現れにくい「質」という部分で、ハッキリと86の魅力を引き上げている。
特筆すべきは、この新型ダンパーやサスペンション取り付けボルトは部品単体での購入が可能なこと。前期型のオーナーも、少ない投資でこのマイナーチェンジ版にアップデートできるという事実こそ、“86は育てていくスポーツカー”というコンセプトに合致していると思える。その提案のひとつが、用品装着車に設定された前後異サイズの18インチホイールの設定だろう。フロント215、リヤ225幅のミシュラン・パイロットスポーツを履いた86は、さらに1段階上の楽しさが味わえた。
(文・佐橋健太郎 写真・田中秀宣)
トヨタ86 GT
価格 | 287.9673万円 |
0-100km/h | n.a |
最高速度 | n.a |
燃費 | 12.4km/ℓ |
CO₂排出量 | 187g/km |
車両重量 | 1230kg |
エンジン形式 | F4DOHC, 1998cc |
エンジン配置 | フロント縦置き |
駆動方式 | 後輪駆動 |
最高出力 | 200ps/7000rpm |
最大最大トルク | 20.9kg-m/6400-6600rpm |
馬力荷重比 | 163ps/t |
比出力 | 100ps/ℓ |
圧縮比 | 12.5:1 |
変速機 | 6段M/T |
全長 | 4240mm |
全幅 | 1775mm |
全高 | 1320mm |
ホイールベース | 2570mm |
燃料タンク容量 | 50ℓ |
荷室容量 | 243ℓ |
サスペンション | (前)マクファーソン・ストラット |
(後)ダブルウイッシュボーン | |
ブレーキ | (前) Vディスク |
(後)Vディスク | |
タイヤ | 215/45R17 |