どこまでも走り続けたい最高のスポーツカー 10選 「運転の楽しさ」を教えてくれる1台

公開 : 2023.06.25 18:05

4. トヨタGR86

完璧を超えるにはどうすればいいだろう? 普通なら、トヨタ86の後継を作ろうとしたとき、少しだけパワーを追加し、外観とインテリアを顧客の希望通りにリフレッシュして「はい、おしまい」だろう。

しかし、GR86にはそれ以上のものが備わっている。まず、シャシーとシェルを鍛え上げた上で、排気量2.5L、最高出力234psに強化された筋肉質なフラット4エンジンを搭載。サスペンションとステアリングは基本的に同じだが、タイヤはミシュラン・プライマシーHPとパイロットスポーツ4が用意されている。

4. トヨタGR86
4. トヨタGR86

その結果、走りの本質はほとんど変わらず、公道でもサーキットでもどんな速度でも、美しいバランスと見事なまでに調整された後輪駆動のハンドリングを発揮することができる。ただ、エンジンのパワーアップで加速力は上がったが、それ以上のものはないし、ハードに走らせたときにはまだ少し個性が足りない。

外観は以前よりスマートになり、インテリアは実用性を犠牲にすることなく、より上品に仕上がった。そして、2万9995ポンド(約520万円)からという価格も魅力的だ。

しかし、1つ難点がある。大きな難点だ。欧州市場の安全規制の変更により、GR86が英国で販売されるのは2024年初頭までとなり、トヨタが輸入を予定しているすべての車両がすでに予約済みのため、実質的には販売終了となっているのだ。キャンセルを待つこともできるが、ほんの一握りの幸運な人にしかチャンスは巡ってこないだろう。

追記:本稿執筆時点では英国販売は実質的に終了していたが、現在では新たに生産ロットが割り当てられ、新車を注文できるようになった。またすぐに完売するかもしれないが、さらなるロットの追加も期待されている。

5. マツダMX-5

この4代目マツダMX-5(日本名:ロードスター)は、すべての面で先代を超えている。小さく、軽く、広々としたインテリアと優れたレイアウト。外観はシャープになり、それでいて控えめで、まったく派手さは感じられない。また、より速く、より質素で、さらに生き生きとした魅力的なドライビングを見せるようになった。

2018年、マツダはこの象徴的なスポーツカーに改良を施した。主要な変更点は、1.5Lおよび2.0Lエンジンの出力が向上したこと。また、唯一の難点であった運転姿勢についても、歴代初となるステアリングホイールのテレスコピック機構の導入により改善された。

5. マツダMX-5
5. マツダMX-5

その後、さらに細かい調整が行われ、2023年現在も最新型が販売されている。英国では、標準的なソフトトップ車のモデル名を「MX-5コンバーチブル」から「MX-5ロードスター」に変更し、グレードも従来の「SE-L」「スポーツ」「GT」から、「プライム」「エクスクルーシブ」「ホムラ」に変更。さらに新色としてジルコンサンドを追加している。

機械的な変更はなく、1.5L車は132ps、2.0L車は184psを発生。フロント・ストラットブレース、リミテッド・スリップ・ディファレンシャル、ビルシュタイン製ダンパーが標準装備されている。

どちらのモデルを選んでも、リアドリブンのシャシーで安定した走りを実現し、ドライバーとの関係性は深い。それは、MX-5がこれまでとまったく同じように生き生きとした、比類のないクルマであるからだ。そのキャラクターは30年前からまったく変わっておらず、今回取り上げる10台の中でこれほど「笑顔」が似合うクルマはない。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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