ポルシェ、次世代EVハイパーカー「ミッションX」公開 2027年頃発売か 目標はニュル最速

公開 : 2023.06.09 20:05

ポルシェは耐久レーサーのようなデザインのEVコンセプト「ミッションX」を公開しました。カレラGTや918スパイダーの後継となり得るハイパーカーで、最高出力は1500ps近いと予想されています。

918スパイダー後継? 発売は2027年か

ポルシェは、ブランド誕生75周年を記念して新たなコンセプトモデル「ミッションX」を発表した。カレラGTや918スパイダーの後継モデルとなる可能性を秘めたEVハイパーカーである。

ミッションXは後輪駆動の2シーターで、高性能な電動パワートレインを搭載した軽量な「スーパースポーツカー」を目指したものだ。ニュルブルクリンク・ノルドシュライフェで市販車最速記録の達成を目標としている。

ポルシェ・ミッションXコンセプト
ポルシェ・ミッションXコンセプト    ポルシェ

ポルシェのオリバー・ブルーメCEOは、このモデルが「未来のスポーツカーのためのテクノロジー・ビーコン」になるとし、「過去数十年の象徴的なスポーツカーの聖火を拾い上げる。以前の959、カレラGT、918スパイダーのように、ミッションXは未来の車両コンセプトの進化的開発における重要な原動力となる」と述べている。

ミッションXという名称は、タイカン(2019年発売)を予告した2015年のミッションEコンセプトや、718ボクスター/ケイマンのEV版(2025年頃に発売見込み)を予告する2021年のミッションRコンセプトを踏襲したもの。

これらのタイムラインに基づけば、ミッションXをベースにした市販車が登場するのは、2027年頃となりそうだ。ポルシェが独自に開発しており、ポルシェが株式を保有するクロアチアのEVメーカー、リマックとは無関係であると考えられている。

ミッションXのボディサイズは全長約4500mm、全幅約2000mm、全高1200mm未満、ホイールベース2730mmで、ポルシェは哲学的な系譜を共有するカレラGTや918スパイダーと近い存在であると述べている。フロント20インチ、リア21インチのホイールを装着し、エアロダイナミクスに配慮したデザインとなっている。

目標はニュルのラップタイム更新

パワートレインに関する技術的な詳細は明らかではないが、「技術的ビジョン」を策定し、開発エンジニアが量産に至るまでに達成すべき一連の目標値が提示されている。その中にはニュルブルクリンクのラップタイム更新も含まれており、現在のトップはメルセデスAMGワンで、6分35秒18という記録を保持している。

ミッションXは効率性と軽量設計に重点を置き、パワーウェイトレシオは1kgあたり1psを想定する。目標重量は明らかにされていないが、現行の911に近い、約1400〜1500kgになると思われる。その場合、最高出力は1500ps近くになる計算だ。

ポルシェ・ミッションXコンセプト
ポルシェ・ミッションXコンセプト    ポルシェ

バッテリーは座席の後ろ、つまり従来のミドシップ車のエンジンが置かれる場所に配置される。このレイアウトは「Eコア」と呼ばれ、以前のミッションRでも同じアプローチが見られる。質量を集中させてハンドリングを向上させるとともに、一般的なスケートボード型シャシーよりも低いボディ設計が可能となる。

また、ダウンフォースについては現行の911 GT3 RS(285km/hの速度で最大860kg)を「はるかに超える」ことも、エンジニアリング上の目標となっている。

一方、ポルシェは、900Vアーキテクチャの充電性能の「大幅な向上」も追求しており、タイカンの2倍の速さで充電することを目標としているという。タイカンは最大225kWで充電できることから、ミッションXでは450kWを目指していることがうかがえる。このような急速充電が実現すれば、比較的小型のバッテリーも搭載できるようになり、軽量化につなげられる。

バッテリーの種類やサイズについては今のところ未公表だが、モータースポーツに開発された高性能ユニットを検討しているものと思われる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジェームス・アトウッド

    James Attwood

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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