BMW M235i
公開 : 2014.05.26 17:33 更新 : 2017.05.29 17:59
ファンが期待するのは理解できるのだ──。
2シリーズは要するに1シリーズのノッチバッククーペである。クーペというからには3ドアなのだが、ややこしいことにハッチバック車体の1シリーズには、5ドア版だけでなく日本未導入の3ドア版もある。社内呼称形式で見ると1シリーズの5ドア版がF20、同3ドア版がF21、2シリーズはF22となる。そして、F20系5ドア版にはM135iというモデルが配備されている。それに呼応する形で、F22系2シリーズにM235iが用意された。
かのM GmbHが仕立てた証のMの文字。それを名称にもつ車両は、1970年代にM1という突然変異的ミドシップ高性能車で始まって、そのDOHC版ビッグシックスを移植されたM5やM6で評価を確立。返す刀で、彼らはその直6から2気筒を切り落としてM3を開発し、1980年代末のグループAレースを席巻してみせた。道路環境という外的要素と、小型高性能という凝縮性を嗜好する心理的要素の両方からなのだろう、我が国の趣味人はこのE30系M3に魅了された。ところが、以降のM3は、3シリーズの変容に伴ってサイズを膨らませ続けて凝縮性を失い、現行F30系に至ってターボチャージド直6を載せるという策に出て、今もE30系M3に恋々とする往時からのファンを嘆かせた。
そこに登場したのが、先代E82系のM135iであり、現行F20系のM135iとF22系のM235iだった。エンジンは直6ターボだが、少なくともサイズは3シリーズより小さく車重も軽い──。ファンはそこに、いじらくもE30系M3の夢を見たのである。その夢に、M135iがどういう風に肩透かしを食らわせたかは本誌125号で記した。ではM235iは──。