75%サイズのタイプ35 リトルカー・カンパニー・ベイビーII コレなら買える?EVブガッティ

公開 : 2023.06.22 08:25

英国の小さなメーカーが製作する、75%サイズのブガッティ。そのワンメイクレースの会場へ、英国編集部がお邪魔しました。

思わず惹かれてしまう高い完成度

フランスの名門、ブガッティを創業したエットーレ・ブガッティ氏は、子ども用のレーシングカーを作るアイデアを実際に形にした。1926年、彼と10代の息子、ジーンが自ら工具を手にし、4歳のローランドのために小さなタイプ35を完成させた。

エットーレは、そのクルマをブガッティ・ベイビーと呼んだ。それから93年後、ロンドンの北西に位置し、クラシックカーを愛する人たちが集うビスター・ヘリテージに拠点を置くリトルカー・カンパニーが、後継モデルに相当するベイビーIIを発表した。

リトルカー・カンパニー・ベイビーII
リトルカー・カンパニー・ベイビーII

現在のリトルカー・カンパニーは、オリジナルよりひと回り小さいブガッティ・レプリカを生産している。見た目の完成度は極めて高く、職人技に溢れている。そのぶん価格はお高く、新車のBMW 3シリーズを買えるほどだ。

筆者のような皮肉屋でも、思わず惹かれてしまう魅力がある。ベイビーIIのボディは、1924年のフランス・グランプリを戦った本物を3Dスキャン。正確に寸法を割り出し、アルミニウムの板から叩き出されている。部品は、信頼性を重視し選ばれている。

仕上がりの素晴らしさから、本家のブランドから許可を得て製作するレプリカ以上、といえる評価を得たモデルもある。リトルカー・カンパニーが製作するテスタロッサJには、正式にフェラーリからシャシー番号が割り当てられているのだ。

複数台購入した本物のブガッティ・オーナーも

このベイビーIIは、世界で最も美しいと評価されるクラシック・レーシングカーの1台、タイプ35を、75%サイズに縮小して細部まで再現したもの。とはいえ、基本仕様で3万1300ポンド(約504万円)という値段を聞いて驚かなかった、というのは嘘になる。

生産数は、合計で500台が予定されている。自邸の各部屋へ飾るために複数台購入した、本物のブガッティ・オーナーもいらっしゃるそうだ。

リトルカー・カンパニー・ベイビーII
リトルカー・カンパニー・ベイビーII

お隣の子どもと同じものは嫌だ、というワガママのために、特別仕様も用意されている。アスプレイ・ロンドン・エディションは1台限りだった。ブガッティW16 ミストラルをオーダーした人に限って注文できる、カーボン・エディションも計画されている。

現代の富裕層や高級品は興味深い。1台のクルマに数億円を投じたら、それに似合うようにデザインされた時計や靴、カバンなども用意されているのだから。子ども用の電動レーシングカーも。

とにかく、ベイビーIIは素晴らしい。油圧ブレーキを備え、ドライブモードも選択できる。駆動用バッテリーの容量は、2.8kWhと不足ない。

本物のブガッティ・シロンのように、フルパワーを開放するためのスピードキーも用意されている。この場合、67km/hまで加速が可能になる。公道は走れないから、広い敷地が必要になるわけだが。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・プライヤー

    Matt Prior

    英国編集部エディター・アト・ラージ
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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