500万円弱のセレナ 「ルキシオン」 選ぶ価値は? プロパイロット2.0がキー
公開 : 2023.06.12 17:15
500万円弱のセレナとは?
「LUXION(ルキシオン)」がまず世間を驚かせたのは、プライスタグ。eパワーモデルのベーシックグレードに対して約160万円も高い、479万8200円という値付けがされている。
いくら昨今のクルマが高くなったとはいえ「ミドルクラスミニバンのセレナで500万円弱!」は強烈なインパクトを与えた。
他グレードとの違いの本命は、先進装備と言っていい。パワートレインは他のモデルと同じだし、スタイリングもパッと見てわかるほどの違いはない。インテリアも1列目中央に大型センターコンソールボックスが備わり、2列目が左右2人掛け、そしてシート表皮が合皮になっているなどの違いはあるもの、これ見よがしの高級感があるとは思えない。
しかし機能装備を見ると、他グレードではオプション扱いのナビ&全方位モニターやプロパイロットパーキング(駐車補助機能)を標準採用しているのに加え、他グレードには装着できないプロパイロットリモートパーキング(車外からリモコン操作で駐車操作と駐車状態から車両の前後移動ができる機能)も追加されている。
そして核となるのが、プロパイロット2.0が搭載されていることである。これはいわゆる「ハンズオフ」であるが、セレナ「LUXION」を除けばほかのどのミニバンにも搭載されていない。だから注目なのだ。
プロパイロット2.0がキー
ハンズオフとは、高速道路でハンドルから手を離しての走行を実現するもの。高速道路での車速調整や車視線を維持するようにハンドルをアシストする(ハンドルに手を添える必要がある)「プロパイロット」の上を行く機能で、低速域に限定せず制限速度まで機能するタイプはミニバンとしては世界初搭載。日産では「スカイラインハイブリッド」や「アリア」に続いての搭載だ。
何を隠そう、この機能の有無が「LUXION」とほかのグレードを隔てる明確な違い。メリットはなんといっても、高速道路移動で明確に疲れないことである。
というわけで、「LUXION」がどんな人のためのグレードかといえば、ミニバンで高速道路移動が多い人のためのグレードといっていいだろう。年に数えるほどしか高速道路を使わないのであれば強い魅力を感じないかもしれないが、頻繁に高速移動するのであれば強いベネフィットと捉えることができ、ライバルやセレナの他グレードではなく「LUXION」を買う理由に十分なり得る。ハンドル操作から解放されることで長距離移動時の疲れが軽減される効果は、予想以上なのだから。
セレナに搭載されたプロパイロット2.0を実際に試してみたところ、強い横風が吹いた状態にもかかわらず大きくふらつくことなくしっかりと走ってくれることに驚いた。実力は高い。そして間違いないのは、いちどこの機能を使ってしまうともう、ハンズオフ機能のないクルマには戻れなくなってしまうことである。
最後にもう一度繰り返すが、高速領域でも使えるハンズオフを備えたミニバンは、現時点ではセレナ「LUXION」だけである。だから、選ぶ価値があるのだ。