アストン マーティン 市販車にも「F1文化」活きる 技術責任者が語る次世代車開発の行く末は

公開 : 2023.06.13 06:25

メルセデス・ベンツ、F1チームとの関係

――メルセデス・ベンツとの関係はどのように発展していくのでしょうか?

「メルセデスは今でも(実質的な)株主であり、わたし達にとって重要な技術パートナーです。このようなパートナーシップは、以前よりも少なくなることはないでしょう。ベースとなるエンジンと技術をメルセデスから提供してもらい、エンジンのパーソナライゼーションを進めています」

F1チームの文化と技術、ノウハウが市販車開発にも生かされるという。
F1チームの文化と技術、ノウハウが市販車開発にも生かされるという。

「メルセデスがいなければ、ICEの次の課題であるユーロ7(排出ガス規制)への対応も大変になってしまうかもしれません」

「同時に、メルセデスは単にエンジンだけでなく、電気アーキテクチャのベースでもあるのです。(DB12では)ベースとなるメルセデスのアーキテクチャに、新しいコンポーネントを組み込んでいきました。この協力関係は、今後も続くでしょう」

――アストン マーティンのミドエンジン車プロジェクトは、どれほどエキサイティングなのでしょうか?

「非常にエキサイティングです。イタリアでの最後の経験はラ・フェラーリでした。わたしにはその経験があります。DB12は始まりであり、とても重要なものです。コンポーネントだけでなく、DNAやブランドの過去への位置づけも含めて、まったく異なる製品になります。このDNAを固め、それに従って新しい製品を考えていきます」

――今後のアストン マーティンの製品間の一貫性はどのように確保するのでしょうか?

「トイレの質、食堂の食事、人、開発者、販売する人など、会社のすべてが一貫している必要があります。次のクルマを作るときも、一貫性がなければならないのです」

「過去は過去ですが、当社の会長は方向性と会社に求める結果を明確にしています。わたし達は明確な方向性を持って動いているのです。手に入れなければならない目標に対して、違う方向に進んでいる日は1日もありません」

――アストン マーティンF1チームとは、どの程度密接に連携しているのでしょうか?

「F1での経験やスキルをたくさん使っています。共同作業の大半は、F1シミュレーターでのエアロダイナミクスとビークルダイナミクスといった分野です。また、エネルギーマネジメントについてもそうですね。彼らはEVやカーボンファイバーに関する経験も非常に豊富です」

「さらに、フェルナンド・アロンソは、(市販車の)性能にも興味を持つ非常に数少ないF1ドライバーの1人です」

記事に関わった人々

  • 執筆

    マーク・ティショー

    Mark Tisshaw

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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