シボレー・コルベット
公開 : 2014.04.26 17:00 更新 : 2017.05.29 18:36
フロント245、リヤ285という幅自体は先代と変わらないこの専用タイヤは、バランス感覚に優れているため主張が少ないが、引き締まった足まわりとのマッチングは非常に良い。パターンノイズもこのクラスとしては極めて静かで乗り心地も悪くない。それでも山道でペースを上げていった場合、リヤ2輪に掛かる460psもの大パワーを事も無げに受け止めるグリップレベルの高さも併せ持っている。
直線加速のみならず、よく止まり、タイトコーナーでもグイグイと鼻先が入っていくオールラウンダー的な性格がより強く打ち出されたC7クーペ。とはいえそのフィーリングはコルベット以外の何者でもなく、目を瞑ってドライブしていてもそれとわかる点はC7の最大の美点といえる。
具体的にそのフィーリングとは、ステアリングとスロットルの操作がヨーロッパのスポーツカーほど密にシンクロしない、という点だと思っている。スロットル開度にあまり関係なくステアリングは切ったら切っただけ曲がってくれる性格だし、一方スロットルも舵角にあまり関係なく安定した加速を見せる。このためワインディングでC7を速く走らせるには少々の慣れを必要とするのだが、その包容力の意外なほどの高さに気付き始めるにつれて、コーナーの立ち上がりでスロットルを開けるタイミングをどんどん早くしていけるようになる。
高性能版のZ51はベースモデルに6psを追加しただけなので、ハイパワー版というよりハンドリングマシーンの色が濃い。強化ブレーキや電子制御のLSD、そして可変ダンパーであるマグネティックライドコントロール、標準より1インチ径の大きなタイヤ等を装備し、C7のポテンシャルを極限まで引き上げている。ステアリングの敏感さや乗り心地などは速さとトレードオフの関係にあるが、Z51の方がベースモデルよりシャシーが若干勝っている印象があるので、コルベット・ワールドの限界を見極めたいオーナーには打ってつけの1台といえる。
低重心を誇るOHVエンジンの採用など現代に通じる伝統的な技術と、アルミフレームをはじめとする最新のテクノロジーを上手く融合させたC7。その頑ななまでの成り立ちによって最新のコルベットはポルシェ911と肩を並べるスポーツカー代表としての命脈を繋いだと言いきれる。スポーツカーのレイアウトの理想と言われるミドシップを採用していない両者がル・マンをはじめとする世界中のGTレースで覇を競っているという事実も実に興味深い。
(文・吉田拓生 写真・花村英典)
シボレー・コルベット・クーペ&コルベット・クーペZ51
価格 | 929.0万円 | 1099.0万円 |
0-100km/h | na | 4.2秒 |
最高速度 | na | 290km/h |
公称燃費(EU混合) | na | 8.3km/ℓ |
CO₂排出量 | na | 279g/km |
車両重量 | 1540kg | 1580kg |
エンジン型式 | V8OHV, 6153cc | V8OHV, 6153cc |
エンジン配置 | フロント縦置き | フロント縦置き |
駆動方式 | 後輪駆動 | 後輪駆動 |
最高出力 | 460ps/6000rpm | 466ps/6000rpm |
最大最大トルク | 63.6kg-m/4600rpm | 64.2kg-m/4600rpm |
馬力荷重比 | 299ps/t | 295ps/t |
比出力 | 74.8ps/ℓ | 75.7ps/ℓ |
圧縮比 | 11.5:1 | 11.5:1 |
変速機 | 6段A/T | 6段A/T |
全長 | 4510mm | 4510mm |
全幅 | 1880mm< | 1880mm |
全高 | 1230mm | 230mm |
ホイールベース | 2710mm | 2710mm |
燃料タンク容量 | 70ℓ | 70ℓ |
荷室容量 | 593ℓ | 593ℓ |
サスペンション(前) | ダブルウイッシュボーン | ダブルウイッシュボーン |
サスペンション(後) | ダブルウイッシュボーン | ダブルウイッシュボーン |
ブレーキ(前) | φ320mmVディスク | φ345mmVディスク |
ブレーキ(後) | φ338mmVディスク | φ338mmVディスク |
タイヤ(前) | P245/40ZR18 | P245/35ZR19 |
タイヤ(後) | P285/35ZR19 | P285/30ZR20 |