自衛隊「高機動車」 ロシアが戦争に使用か 背景に解体業者「抜け穴」

公開 : 2023.06.15 11:54  更新 : 2023.06.15 12:01

ロシアの中古車サイトに「注意書き」

下記は、ロシアの中古車サイトで売られている高機動車と見られるクルマに関するレポートである。

車体番号レポート
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ロシアの中古車サイトで売られている高機動車と見られるクルマに関するレポート。
ロシアの中古車サイトで売られている高機動車と見られるクルマに関するレポート。

「電子PTSが発行されませんでした。EPTSデータベースにはこの車両に関する情報がありません」

「おそらく、EPTS登録手続きをまだ通過していないか、いくつかの問題があるため、所有者が意図的に間違った車台番号を指定した可能性があります。気をつけて!」

これが本当にメガクルーザーであり、正規の手続きを経てロシアに入ってきているなら当然、車台番号も書類もあるはず。

それがないということは……この高機動車とみられる車両が自衛隊で使用済みとなって本来は絶対海外に出るはずがない車両である可能性がある。

国会答弁に立った防衛装備庁の土本長官

令和5年3月17日の第211回国会(衆院外務委員会)にてロシア軍が陸上自衛隊の高機動車とみられる車両を使っているとの疑惑を巡る質疑がおこなわれた。

質問したのは自らも予備自衛官の経験がある鈴木あつし(国民民主党衆議院議員)委員である。

予備自衛官時代、高機動車を操縦した経験もあると委員会の中で述べており、高機動車の仕様についても非常に詳しい。

鈴木氏は以下の質問をした。

「安全保障委員会(3月9日)で斎藤アレックス議員からも質問したがロシア国内で整備中とされる軍用車両の中に、わが国の陸上自衛隊の高機動車が写っているという問題について改めてご説明をお願いします」

答えたのは防衛装備庁長官の土本政府参考人である。

「委員御指摘の情報については承知しております。用途廃止いたしました高機動車は、鉄くずとして処分するため、1つは、機微性のある部分をまず取り外すということ、その上で、防衛省・自衛隊と特定できる銘板、これは組織名等が書いてある板みたいなものでございますが、こういうものを取り外して業者に分解、破砕させているのが今の現状でございます」

「このため、高機動車と指摘される車両につきましては、防衛省におきましても画像を確認いたしましたが、外観上の類似性は認められるものの、画像だけでは自衛隊で売払いした車両と同一か否かは判断できないということでございます」

「しかしながら、過去にも自衛隊専用車の類似品が転売される旨の情報があったことから、転売防止策としまして、関連規則の改正を平成30年及び令和4年におこなってきたところでございます」

記事に関わった人々

  • 執筆

    加藤久美子

    Kumiko Kato

    「クルマで悲しい目にあった人の声を伝えたい」という思いから、盗難/詐欺/横領/交通事故など物騒なテーマの執筆が近年は急増中。自動車メディア以外ではFRIDAY他週刊誌にも多数寄稿。現在の愛車は27万km走行、1998年登録のアルファ・ロメオ916スパイダー。クルマ英才教育を施してきた息子がおなかにいる時からの愛車で思い出が多すぎて手放せないのが悩み。

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