豊田会長、BEVの「GR」プロトタイプに試乗 エンジン車に近い感覚、MTも搭載か

公開 : 2023.06.15 19:45

トヨタ自動車の豊田章男会長は、バッテリーEVの「GR」のテスト走行を行っていることを明らかにしました。マスタードライバーとしてプロトタイプに試乗したところ、エンジン車のように感じられたと語っています。

GRのバッテリーEV 運転の楽しさを追求

トヨタ・ガズー・レーシングは、初のバッテリーEV(BEV)プロトタイプのテストを開始した。同社会長の豊田章男氏は、ファンの期待に応えるべく自ら開発作業に携わっていることが、AUTOCARの独占取材で明らかになった。

トヨタがル・マン24時間レースでフェラーリに次ぐ2位を獲得した後、豊田氏はこのEVについて、少なくとも現在の内燃機関搭載車(GR86、GRスープラ、GRヤリス、GRカローラ)と同等の運転性能でなければならないと明言した。

GRが開発するBEVは、エンジン車に近い楽しさを感じられるという。
GRが開発するBEVは、エンジン車に近い楽しさを感じられるという。    AUTOCAR

「マスタードライバー」とも呼ばれる豊田氏は、次のように語っている。

「パワートレインがどうこうではなく、パワートレインに関係なく、いかに楽しく運転できるかが原点です。実は最近、わたし達が取り組んでいるBEVのGRに試乗する機会がありました。そのクルマが市場に出るかどうかはまだわかりませんが、こういうクルマを作る上でまず優先されるのは、どんなパワートレインを使っても運転が楽しくなければならないということです」

そのため、クラッチやトランスミッション、さらにはエンジン音を模した音を出すなど、内燃機関車の特徴を多く持つように開発することも示唆した。

豊田氏はクルマを走らせる楽しさについて、その重要性を説き、モータースポーツや公道走行車への応用を視野に入れた水素燃焼技術の開発を推進している。

「わたし達が開発している他のBEVとの最大の違いは、GR BEVに乗ると、ガソリンの匂いはしなくても、エンジン音が聞こえるということです。マニュアル・トランスミッションもありますし、クラッチもあります。誰かを乗せて、運転してパワートレインを当ててくださいと言っても、おそらく答えられないと思います」

レクサスは昨年、将来のBEV向けにマニュアル・トランスミッションの開発を明らかにしている。豊田氏のマニュアル・トランスミッションへの言及は、GRモデルが同クラスのレクサス車と共同開発される可能性を示唆している。

チーフエンジニアの渡辺剛氏は、シフトノブやクラッチはモーターに直接接続されないが、電気モーターのトルク設定を調整することでシフトチェンジをシミュレートすると説明した。また、坂道でクルマを後退させたり、エンストを模倣したりするようなプログラムも可能で、お粗末な運転ではうまく走れないようにすることも提案した。

このコンセプトはプロモーションビデオで紹介され、テスト車輌がエンジン音を模擬的に発生させ、車内に送り込み、車外からは聞こえないようにする様子も公開された。「エンスージアスト向けの製品を提供し続けられるようにしたい」と、当時の渡辺氏は語っていた。

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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