中国ニオ 初のEVステーションワゴン欧州発表 航続距離550km以上、最高出力490ps

公開 : 2023.06.19 06:25

中国のニオは新型ET5ツーリングを発表しました。まだ数少ないEVステーションワゴンで、合計出力490psのツインモーターを搭載。走る楽しさと実用性を追求しており、今年後半には欧州でも発売予定です。

まだ珍しいEVワゴン 欧州上陸

中国のEVメーカーであるニオ(NIO)は、新型のステーションワゴン「ET5ツーリング」を発表した。広い室内スペースと運転する楽しさ、高度な車載技術を備えているという。

欧州市場では晩夏に販売が開始される予定で、2024年には英国にも上陸する見込みである。数少ない電動ステーションワゴンの1つであり、MG 5 EVなどと競合することになりそうだ。

ニオET5ツーリング
ニオET5ツーリング    ニオ

しかし、ニオはドライビングの魅力向上を開発目標の1つとしていることから、まもなくデビューするBMW i5ツーリングがより直接的なライバルとなるだろう。新型ET5ツーリングは、50:50の前後重量配分、四輪駆動、低重心、そしてi5ツーリングより107mm短い2888mmのホイールベースを備えている。

最もスポーティな仕様では、フロントアクスルに204ps、リアに285psのモーターを搭載。合計出力490ps、最大トルク72kg-m、0-100km/h加速4.0秒とされる。4ピストンキャリパーの制動力により、100km/hから33.9mで停止することが可能だ。

100kWhのバッテリーを搭載し、最大航続距離は558kmに達する。安価なモデルには75kWhのバッテリーも用意され、航続距離は435kmとなる。

ニオはまた、約5分でバッテリーを交換できるバッテリー交換ステーションを中国と欧州に導入しており、それなりの規模のネットワークを展開できれば、ブランド独自のセールスポイントとして有効であろう。

走る楽しさと実用性を追求

ET5ツーリングは、従来のセダンタイプのET5をベースにしており、トランク容量が64L増え、シートを立てた状態で450L、40/20/40分割可倒式リアシートを倒した状態で1300Lとなった。さらに42Lの床下収納も用意されている。この容量はポルシェタイカン・クロスツーリスモより大きい。

室内には、調光・調色可能なパノラミック・サンルーフが装備され、紫外線を99.99%カットし、太陽の熱を80%遮断するという。23スピーカーのドルビーサウンドシステムと14ウェイのベンチレーション&マッサージ機能付きフロントシートがオプションで用意される。また、安全・運転支援システム(標準装備は23種類)を追加購入・ダウンロードできる無線アップデートも特徴の1つだ。

ニオET5ツーリング
ニオET5ツーリング    ニオ

10.2インチのメーターディスプレイと、12.8インチのセンターディスプレイには第2世代となる車載システム「NT2.0」を搭載。AIベースのバーチャルアシスタント「Nomi」が組み込まれている。

また、収納性と実用性を高めるために、マグネット式ストラップ、掃除しやすいファブリック、取り外し可能なトーチなどの「気の利いたソリューション」が複数用意されている。

ニオのウィリアム・リーCEOは以前、AUTOCARに対し「とても美しいクルマです。後席のヘッドルームも含めて、室内空間が広いんです」と語っている。

欧州はリース販売をメインとしており、柔軟性の高いサブスクリプション・モデルによって、顧客はわずか1か月前に通知するだけでクルマを返却できる。

ニオは2016年に設立され、当初は中国市場限定であったが、2021年にノルウェーを皮切りに欧州市場に進出。昨年はスウェーデン、オランダ、デンマークに拡大した。

ニオはまた、来年から欧州市場を対象とした第2の自動車ブランドを立ち上げる計画だ。コードネームは「ファイアフライ」で、中国で製造された小型・低価格のモデルを販売するという。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジョナサン・ブライス

    Jonathan Bryce

    英国編集部。英グラスゴー大学を卒業後、モータージャーナリストを志しロンドンに移住。2022年からAUTOCARでニュース記事を担当する傍ら、SEO対策やSNSなど幅広い経験を積んでいる。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    平成4年生まれ愛知在住。幼少期から乗り物好き。住宅営業や記事編集者といった職を経て、フリーランスとして自動車メディアで記事を書くことに。「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。

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