中国HiPhi(ハイファイ) 新型「X」欧州価格は約1690万円~ 高級EVブランドとして参入

公開 : 2023.06.21 18:25

中国の高級EVブランドであるHiPhiは、新型「X」および「Z」の欧州価格を発表しました。欧州車メーカー出身の技術責任者に、新型車の特徴や地政学的リスクについて聞きました。

航続距離650km 高級電動SUV、欧州上陸

中国の高級EVブランドであるHiPhi(ハイファイ)は、クロスオーバーの「X」とグランドツアラーの「Z」の欧州価格を発表した。Xは10万9000ユーロ(約1690万円)から、Zは10万5000ユーロ(約1630万円)からとなる。

欧州仕様のHiPhi Xは、97kWhのバッテリーを搭載し、中国CLTCテストサイクルでの航続距離は最大650kmとされている。デュアルモーターを搭載し、最高出力535ps、0-100km/h加速は3.9秒を達成するという。

HiPhi X
HiPhi X

中国では、航続距離704kmの120kWhバッテリーを選択することができるが、今のところ欧州導入予定はない。しかし、4人乗りと6人乗りの両方が発売されることは間違いない。

設立4年目の新興ブランドであるHiPhiが欧州市場に参入するのは今回が初めて。最初のモデルとなるXは、快適性とテクノロジーに重点を置いたクーペ・クロスオーバーと称される。

Xの最大の特徴はインテリアだ。17スピーカーのオーディオシステム、19.9インチの助手席向けタッチスクリーン・インフォテインメント・システム、カスタマイズ可能なフレグランスシステムが搭載される。また、8.0インチのタッチスクリーンや「旅客機風のシート」も標準装備されている。

インフォテインメント・スクリーンには、角度を調整する「業界初のロボットアーム」が備わっているという。

個性派EVセダン 右ハンドルも

一方、HiPhi Zはやや車高の高い4ドア・セダンだ。豪華な4人乗り仕様も10万7000ユーロ(約1660万円)から発売されるが、これはライバルとされるポルシェタイカンと同等の価格設定だ。

この2車種に続いて、SUVの「Y」も発売予定である。全長5.0m級と大型ではあるが、Xよりは価格を低くおさえる予定だ。

HiPhi Z
HiPhi Z

HiPhiの最高技術責任者であるマーク・スタントン氏(元ジャガーランドローバーSVO部門責任者)は今年4月、XとZについて「どちらもハイエンドな最高級車」とし、HiPhiの顧客のほとんどがメルセデス・ベンツから集まるほど、「そのプレミアムレベルでわたし達のブランドを位置づけてきた」と語っている。

HiPhiは、高級車を買う既存の年配顧客よりも「ブランドに敏感ではない」若い購買層に重点を置いているという。他ブランドと同レベルの技術と機能を低価格で提供する、量販向けのEVで製品ラインを多様化することを視野に入れている。

「高価格帯でブランドを確立し、技術力とプレミアム性を確立した上で、比較的安価なクルマや量産車を投入していきます」とスタントン氏は述べた。これらは「安いクルマ」ではなく、「何百万、何千万」という単位で生産されるわけでもないが、XやZよりも小型で、より手頃な価格になるという。

「最初の2台はかなり大型のクルマで、中国にはよく合いますが、世界の他の地域では必ずしもそうではありません」

ジャガー・ランドローバー(JLR)出身のスタントン氏は、レンジローバーのラインナップを引き合いに出し、特にエントリーモデルのイヴォークは「ランドローバーにとってかなり成功した製品」であり、「レンジローバーのトップエンドを中型プレミアムカーに落とし込む方法の良い例」であると述べた

同様に、HiPhiは新しいエントリーモデルに、これまでの製品を特徴づけてきたデザイン、高級志向、先進技術、走行特性を導入していくという。

「この4つの属性をすべて備えているブランドはありません」とスタントン氏は言う。「ほとんどのブランドは、せいぜい3つ、中には1つしか持っていないブランドもあります」

欧州では、当初は左ハンドル車のみだが、「魅力的な市場」である英国向けに右ハンドル車も生産する予定だ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    フェリックス・ペイジ

    Felix Page

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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