トヨタ新型「アルファード」 8年ぶりのモデルチェンジ 高級ミニバンの象徴が歩んだ21年とは
公開 : 2023.06.21 14:01 更新 : 2023.06.21 20:33
2008年 2代目でVIPが選ぶモデルに
登場するや否や、瞬く間に高級ミニバンのトップランナーとなったアルファードは2008年5月に2代目モデルへとフルモデルチェンジを果たす。
初代は異なる販売店に向けて、アルファードG(トヨペット店)とアルファードV(ビスタ店→ネッツ店)としていたが、2代目はアルファードをトヨペット店専売とし、新たにネッツ店向けにはより押し出しの強いエクステリアを纏った兄弟車「ヴェルファイア」を設定し、ユーザー層の違いに合わせて差別化を図っている。
クルマとしてはプラットフォームが一新され、直4 2.4Lエンジンは継続採用されたが、V6エンジンはより排気量の大きな3.5Lへと拡大され、より上級移行がなされた。
それに合わせてキャプテンシート仕様の7人乗りモデルの上級グレードには「エグゼクティブパワーシート」と名付けられた大型ヘッドレストやオットマン、ビルトインカップホルダー付きアームレストなどを備えたファーストクラスのような2列目シートを備え、広い室内空間を活かした“VIPをおもてなしできる車両”という地位を確固たるものとしたのだった。
さらに衝突被害軽減ブレーキのプリクラッシュセーフティシステムやブレーキ制御付きのレーダークルーズコントロール、レーンキーピングアシストなどをセットオプション設定し、先進装備でも大きくレベルアップ。
また2010年の北京モーターショーでは中国市場に向けてアルファードを輸出することを発表し、海外進出をスタートさせている。
2011年9月のマイナーチェンジでは、フルモデルチェンジ以降姿を消していたものの、復活が熱望されてきたハイブリッドモデルを追加。ハイブリッドシステムにリダクション機構付THS-IIを採用し、燃費性能だけでなく、静粛性や快適性も向上させていた。
2015年 3代目は高級サルーンの領域
先代モデルとなる3代目は、2015年1月に新型ヴェルファイアと共に登場。
この世代になるとメーカーも「高級サルーン」として開発を進めており、より堂々としたエクステリアと高級感溢れるインテリアを持つモデルに進化。
足回りについてもそれまで採用してきたリアのトーションビーム式サスペンションからダブルウィッシュボーン式サスペンションに一新したほか、高張力鋼板や構造用接着剤、鋼板の間に制振材を挟み込んだ合板を採用し、制振材・吸音材を効果的に配置することで、高級車に相応しい走行安定性と静粛性、快適性を実現している。
V6エンジンは先代のものを踏襲したが、直4とハイブリッドモデルのエンジンは2.5Lへ置き換えられ、動力性能や燃費性能を強化した。
2017年12月のマイナーチェンジでは、それまで一部グレードを除きオプション設定となっていた先進安全装備の類を「トヨタ・セーフティ・センス」として全グレードに標準装備化。V6 3.5Lエンジンは最高出力が301psへ引き上げられたほか、組み合わされるトランスミッションも6速から8速へと多段化がなされている。
そして2019年12月の一部改良では、全車に車載通信機のDCMが標準装備され、一部グレードを除き9インチのディスプレイオーディオを装着し、Apple CarPlayやAndroid Autoの利用も可能となった。
高級ミニバンの今後は?
このように代を重ねるごとに高級感と充実した装備を持つようになったアルファード。
今ではすっかりVIPの送迎などにも使われる車両としての地位を築いており、その基盤が揺らぐことはしばらくはなさそうだ。
ただ新型アルファードとプラットフォームを共有するレクサスLMも、新型は日本へ導入されることがすでにアナウンスされているため、どのように差別化がなされるのかは気になるところ。
また、アジア圏では受け入れられている“高級ミニバン”だが、今後欧州や北米地域でどのくらい市民権を得られるのかも個人的には注目しているポイントである。