買い時なHVスーパーカー BMW i8  英国版中古車ガイド ミニと同じ1.5L 3気筒

公開 : 2023.07.03 08:25

BMWが生み出した、未来的な姿をまとった2+2のハイテク・スーパーカー。英国編集部が魅力と注意点をご紹介します。

滑らかで大胆なボディにバタフライドア

未来のクルマの姿を予見したような、BMW i8が発表されたのは2014年。小さくないショックを受けたのは、筆者だけではないはずだ。

低く滑らかで大胆なクーペボディにバタフライドアを備え、プラグイン・ハイブリッドのパワートレインを積んでいた。6桁ポンド(数1000万円)の英国価格でありながら、エンジンは当時のミニ・クーパーと同じ1.5L 3気筒。評価がわかれる内容だった。

BMW i8(2014〜2020年/英国仕様)
BMW i8(2014〜2020年/英国仕様)

それでも、映画「ブレードランナー」から飛び出してきたようなスタイリングは、間違いなく成功といえた。ポルシェ911のライバルとして不足ない存在感を放ち、BMWらしさを備えつつ、他のラインナップとはまったく異なってもいた。

2018年には、ロードスターが追加。リアシートが省かれ2シーターとしつつ、クーペから車重増は60kgに留めていた。スイッチを押すと、約15秒でフロントシート後方へルーフが折りたたまれる。

i8の容姿は今でも素晴らしい。そんな美しいBMWを、減価償却が身近な選択肢にしてくれている。英国市場を検索すれば、3万ポンド(約525万円)程度から購入できる。これ以上価格が下がる可能性は少ない。今後、価値が再上昇する可能性もゼロではない。

エンジンはミニ・クーパー譲りの1.5Lターボ

ハイブリッドの内容を確認すると、1.5L 3気筒ガソリン・ターボエンジンに、2基の電気モーター、リチウムイオンの駆動用バッテリーが組み合わされている。当時のNEDC値で、燃費は47.8km/L。初期型では、電気の力だけで最長37km走行できた。

2018年にフェイスリフト。その距離は、54kmへ伸びている。

BMW i8(2014〜2020年/英国仕様)
BMW i8(2014〜2020年/英国仕様)

メインとなるパワーユニットは内燃エンジンで、前述の通りミニ・クーパーとベースを共有するが、i8向けにチューニングを受けている。内部構造が異なり、高度な吸気システムを備え、1.5Lの排気量から231psと32.5kg-mを発揮した。

小さなエンジンはシャシーの中央へ横向きに積まれ、6速ATが組み合わされ後輪を駆動。パワフルなスターター・ジェネレーター(ISG)が、アシストを加える。

フロント側には、130psと25.3kg-mを発揮する駆動用モーターを搭載。独立して前輪を受け持った。システム総合での最高出力は362ps、最大トルクは57.9kg-mに達し、0-100km/h加速4.4秒、最高速度249km/hを叶えている。

i8の車重は1560kgとされ、当時の991型ポルシェ911より重かったものの、ジャガーFタイプよりは軽かった。パワートレインは活発に回転し、長距離を快適で高速に移動できる。

実際に運転してみると、良好な燃費に驚かされる。普通に市街地を走らせても、14.0km/Lを下回ることは皆無。都度駆動用バッテリーを充電すれば、さらに伸ばすことも難しくない。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マーク・ピアソン

    Mark Pearson

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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