買い時なHVスーパーカー BMW i8  英国版中古車ガイド ミニと同じ1.5L 3気筒

公開 : 2023.07.03 08:25

BMW 6シリーズ・クーペに近い性格

i8へは、ポルシェ911アウディR8のような、パワフルなスーパーカーに並ぶ走りは期待できない。タイヤは細く、本質的にスリークなグランドツアラーといえ、むしろ性格としてはBMW 6シリーズ・クーペに近いといえる。

シリアスなライバルへ迫るようなエキサイティングさは薄いが、ステアリングホイールは軽く回せ、レスポンシブで正確。サスペンションはしなやかに衝撃を吸収し、柔軟なパワートレインと高次元に調和している。

BMW i8(2014〜2020年/英国仕様)
BMW i8(2014〜2020年/英国仕様)

気張らない限り、i8のドライビング体験は素晴らしい。強固なボディ構造が、ロードノイズを響かせるが。

走りに個性がないと評価する人もいたが、ドライバーの接し方次第だと思う。お気に入りのワインディングへ足を伸ばせば、親しみやすく、驚くほど軽快にカーブを縫っていけることへ惹き込まれるだろう。

新車時代のAUTOCARの評価は

ここ数年でわれわれが試乗してきたなかで、最も魅力的なモデルの1台に数えられる。パワートレインは優秀で、身のこなしも素晴らしい。クルマとしての高い完成度にも、感心させられる。しかも日常的に乗りやすい。(2014年9月17日)

BMW i8(2014〜2020年/英国仕様)
BMW i8(2014〜2020年/英国仕様)

オーナーの意見を聞いてみる

デビッド・レイニー氏

「i8を5年ほど所有していますが、優れた操縦性や洗練性を気に入っています。今のところ、深刻なトラブルには見舞われていません。しかし、電気系統は少し調子が悪いようで、警告灯が稀に点灯することがあります」

BMW i8(2014〜2020年/英国仕様)
BMW i8(2014〜2020年/英国仕様)

「実際に電気で走れる距離は30km弱で、運転席からの視認性が良いとはいえません。ですが、これまでの整備費はさほど高いとは感じていません」

「ロードスターも検討しましたが、クーペより価格が高く、リアシートがなくなります。学校まで送るクルマとして、子どもも気に入っているようです」

購入時に気をつけたいポイント

エンジン

ベースはミニ・クーパーの1.5L 3気筒ターボだから、信頼性が高く基本的にトラブルは少ない。燃圧センサーが弱点といえる。オーバーヒート気味になることや、ECUに不具合が出た例はあるようだ。

ラジエータークーラントの量が実際は不足していないのに、低下したと警告が表示される場合はセンサーの不調を疑う。

トランスミッションとブレーキ

BMW i8(2014〜2020年/英国仕様)
BMW i8(2014〜2020年/英国仕様)

6速オートマティックは高耐久。MTの設定はない。フロント・ブレーキパッドなどの消耗品の価格は、3シリーズと同等。一部高価な部品もある。

ボディ

新車時の価格が高いモデルなだけに、これまで大切に扱われてきた傾向は高い。それでも四隅の擦り傷や、ホイールのガリキズなどを観察したい。

斜め上方へ開く、長いドアの先端もぶつけやすい。開閉には意外と広い空間が必要になり、少なくないオーナーが通常のドアの方が良いと考えている様子。ドアストラットに不具合が生じやすく、修理には高額を要する。

電気系統

警告灯が点灯し、ディーラーへ持ち込むユーザーもいるようだが、発生率は低く個体差がある。一方、ソフトウエアの不具合は生じやすいようだ。

リコール

これまでに英国では5件のリコールが出ている。2014年式では燃料漏れ、2015年式ではスタビリティ・コントロールに関するセンサーの不具合、2016年式ではエアバッグの不具合を招く、という可能性が認められている。

フェイスリフト後の2019年式ではプリント基板の不具合、2020年には高圧バッテリーに不純物が混入している可能性で、リコールが出ている。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マーク・ピアソン

    Mark Pearson

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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