フォルクスワーゲン・パサート2.0 BiTDi GT 4モーション

公開 : 2014.10.07 23:40  更新 : 2017.05.29 18:57

エアコンの吹き出し口を、デザインに溶けこませるように仕立てた、両脇へと目一杯に広がるダッシュボードのデザインは、大胆な決断だったともいえるが、このおかげで統一感は一段と高いレベルへと至った。

サテン・クロームが効果的に配されることによりアクセントとなり、膝より下の位置には配されたモールディングは柔らかく触り心地が良い。全ての小物入れの内側にはラバーが貼られ、滑り止めの効果を果たしている。ドアには重厚感があり、閉じればスペースシャトルのエアロックの用に密閉感がある。理想に徹底的に近づけようとしたことが細やかなところから伝わってきた。

全てのグレードには従来のメーター・パネルは組み合わされるが、数カ月先にローンチされる予定のモデルにはテスト車両と同様の12.3インチのアクティブ・インフォ・ディスプレイがオプションで選択できるとのこと。これを選べば個別設定が可能なダイアルや、操作しやすいマルチメディア・スクリーンがメーターの間に鎮座する。

ヘッドアップ・ディスプレイもオプションで選択できるが、こちらを選べばダッシュボードの上部中央に8インチのディスカバープロ・インフォテインメント・システムがせり出し、アンドロイドのスマートフォンならばアプリのミラーリングや、リアルタイムの道路状況、グーグルアースなどの新機能が利用できるようになる。

こちらのグレードにはセーフティ・システムがすべて用意されていた。強豪ブランドの擁する技術に懸命に追従していこうと言う意志の表れのように感じられた。

2012年以来、英国の市場では、パサートGTEプラグイン・ハイブリッドとパサートRパフォーマンスを除いて、ディーゼルに絞り込んでいたのだが、この設定は今回も同様。エンジンは120psの1.6ℓ TDIを皮切りに、150psと190psの2.0ℓ TDI、新設計の240psのツインターボ・ディーゼルが用意される。ブルーモーションは後ほどデビュー予定だ。

フロントはマクファーレン・ストラット、リアは4リンク式のサスペンションを採用。そう、ゴルフのそれの改良版である。具体的には新しいコントロール・アームやピボット軸受け、スタビライザーの設計がパサート専用に見直されている。ディーゼル・モデルの最上級グレードを選択すれば、液体充満型のブッシュがリアに組み合わされ、乗り心地をさらに向上する。BiTDiエンジンを載せたモデル(GTとR-デザインのみ)にはハルデックス・ベースの4WDシステムと、フォルクスワーゲン製の湿式7速DSGギアボックスが組み合わされる。

設定される価格はBMW3シリーズやアウディA4と同程度。特に燃費やキャビンの出来栄えなどは真っ向勝負する価値があると言える。

ディーゼルと言えばガラガラとがなり立てるエンジンを想像するかもしれないが、パサートに至ってはどの回転域でも驚くくらい静か。ただしパラレル形式の低/高圧力ターボを用いるパワープラントは、ノーマルの4気筒ターボ・ディーゼルとさほどの違いは看取できない。

ペダル・レスポンスは明快で、低中回転域はディーゼルの例に漏れず力強いトルク供給を行いながら、4000rpmは滑らかに、そして軽やかに吹け上がる。追い越しなどのシチュエーションにおける瞬発力もまずまずのもの。気持ちを高ぶらせるような要素はないが、十分な速さはある。

フォルクスワーゲン製のダイナミック・シャシー・コントロール・システムには可変ダンパーが付き、ゴルフGTIの革新的なステアリング・ラックが標準。ハンドリングはコンフォート、ノーマル、スポーツ、’お好みの設定’ の4つから調整が可能となっている。

コンフォート、ノーマル、スポーツの3モードに関してはまさに名前のとおりといったところ。モードごとの棲み分けもきちんと感じることができた。

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