XJR-9の総合優勝から35年 ジャガーFペイス SVRエディション1988へ試乗 最高傑作の1台

公開 : 2023.07.04 08:25

1988年のル・マンで総合優勝を掴んだジャガー。それから35周年を記念した特別仕様へ英国編集部が試乗しました。

XJR-9の勝利から35年を記念した特別仕様

2023年のル・マン24時間レースは、いつもに増して特別なレースだった。初開催から100年目を迎えただけでなく、スポーツ・プロトタイプのハイパーカー・クラスに多くの有力メーカーが復帰した、新時代のスタートも果たした。

そんな世界屈指の耐久レースで、1988年にジャガーは総合優勝を掴んでいる。タバコ・ブランドのシルクカットのロゴがあしらわれた、ホワイト地にパープルのグループCカー、XJR-9が勝利してから、35年が過ぎたことになる。

ジャガーFペイス SVRエディション1988(欧州仕様)
ジャガーFペイス SVRエディション1988(欧州仕様)

その栄冠を振り返り、ジャガーはSUVのFペイスに特別仕様を設定した。その名も、SVRエディション1988。35年という数字は、少々切りが悪いことは確かで、発表されたのは2022年ではあったが、現在のジャガーでは頂点を飾るポジションに据えられている。

英国価格は、10万1550ポンド(約1777万円)なり。ベースとなったFペイス SVRより、2万ポンド(約350万円)もお高い。容姿には多数の変更が施されているものの、生産数は394台の限定で、希少性への対価ともいえるだろう。

ちなみにこの数字は、レーシングドライバーのヤン・ラマース氏とジョニー・ダンフリーズ氏、アンディ・ウォレス氏の3名が、24時間にサルテ・サーキットを周回した数にちなんでいる。

日常をエキサイティングに変えるSUV

ボディの特徴といえるのが、XJR-9をモチーフとした暗いパープル、ミッドナイト・アメジスト・グロス塗装。そこへ、ゴールドの差し色が随所にあしらわれる。ホイールは、ブラックではなくゴールドで塗られている。

専用色のボディは、暗めの光ではブラックに見えるものの、初夏の陽気を浴びれば美しく深みのある彩色が浮かび上がる。SUVのなかではスタイリッシュな容姿のFペイスを、程よく引き立てている。

ジャガーFペイス SVRエディション1988(欧州仕様)
ジャガーFペイス SVRエディション1988(欧州仕様)

ラグジュアリーなインテリアは、専用のロゴと、通常とは異なるカラーコーディネート・トリムで仕立てられる。25%増しの価格へ見合う内容だと感じるかどうかは、人によって異なると思うが。

とはいえ、登場から少々時間が経過したFペイスは、未だに素晴らしい。あらゆる路面をしなやかにいなし、日常をエキサイティングなものに変えてくれる、高性能なSUVだと実感する。

エンジンは、スーパーチャージャーで加給される5.0L V型8気筒。今後、こんなユニットをジャガーが提供することはないだろう。極めてパワフルで、右足の操作へ応じて様々な音色を奏でる。ドロドロ、パチパチと。手のひらやお尻には、優しい振動を届ける。

トランスミッションは、トルクコンバーター式の8速オートマティック。デュアルクラッチ・ユニットのように容赦ない変速はしないものの、低速域での上質なマナーが魅力だ。常に本気は強いられず、普段使いとの相性に長けている。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マーク・ティショー

    Mark Tisshaw

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

関連テーマ

おすすめ記事

 

人気記事