フィアット500L 1.3
公開 : 2012.07.05 19:33 更新 : 2017.05.29 18:52
■どんなクルマ?
フィアット500の成功を受けて、フィアットはミニのようにそのブランドを”500ファミリー”として拡張していく計画だ。というわけで、この500Lは、500よりもより大きなモデルであり、そのプラットフォームはプントのものを使用しているものの、500ファミリーとして500のバッジが付けられている。
インスピレーションを1956年の600ムルティプラに受けていることは明白だ。レトロを回想させるということでは、ミニ・カントリーマンもそうであるが、この2車は徹底的に異なる。何故なら、フィアット500のSUVバージョンは間もなく発表されることになる。従って、500Lは、言ってしまえば単純にレトロな雰囲気を持つMPVなのである。これはシトロエンC3ピカソもそれに分類されるかもしれない。
エンジンは2台のガソリンと1台のディーゼルが選択可能だ。94bhpを発揮する1.4リッター4気筒と、104bhpの0.9リッター・ツインエア・ターボという2つのガソリン・エンジンは6速マニュアルが組み合わせられ、84bhpを発揮する1.3リッターのディーゼル・エンジンは5速マニュアルと組み合わせられる。1.6リッターのディーゼルは、後ほど追加されることになろう。
■どんな感じ?
高い位置にアップライトで座ると、50年代のムルティプラを想像さえるようなカーブしたAピラーと三角窓が目に入る。一瞬、邪魔に思えるかもしれないが視界は良い。ペイントされたダッシュボードは、平均的なプラスティックを使用しているにもかかわらず、そのクオリティは良好だ。
500Lの最大の魅力はなんといってもその荷室容量だ。リア・シートを倒せば最大400リッターというサイズのスペースが現れるのだ。居住空間は、ガラス・ルーフがヘッド・クリアランスを圧迫しているが、リア・シートは十分に足を伸ばすだけのスペースが確保されている。ちなみに、ハンドル操作ひとつで、後部座席がワンタッチで折りたためる賢いメカニズムが採用されている。更に背もたれは必要に応じてフラットにできる。また、フロント・シートの助手席も同じ方法で折りたためるので、長尺物を積む時には有用だ。また、トランクは3段階に高さ調節が可能で、22個の収納場所がキャビンのいたるところにある。
マルチジェット・エンジンは、1.4リッターのガソリン・エンジンよりも加速が良い。十分にリファインされており、0-100km/h加速が14.9秒と悲観的な数字であるにも関わらず、そのトルクフルな感じは心地よい。
ステアリングは街中をドライブするのに向いた軽いタッチだが、残念なことに、電子アシストはイマイチで、速く走るのには向いていないと言える。サスペンションは、街中向きのセッティングがされており、かなり良い感じを受けた。
■「買い」か?
500Lは、まずはそのスタイルが魅力だ。にもかかわらず、きちんとしたパッケージがされており、使い勝手の良いモデルである。14,000ポンド(174万円)からはじまり15,000ポンド(186万円)台が主な価格帯というのも悪くない選択肢だ。フィアット500の活発な乗り味をこの大きくて若干可愛らしさがなくなった500Lに上手く移行できたかどうかは、これからの市場が判断することだろう。
(アダム・トウラー)
フィアット500L 1.3 16マルチジェット2
価格 | 15,500ポンド(192万円) |
最高速度 | 165km/h |
0-100km/h加速 | 14.9秒 |
燃費 | 23.8km/l |
Co2排出量 | 110g/km |
乾燥重量 | 1315kg |
エンジン | 4気筒1248ccターボ・ディーゼル |
最高出力 | 84bhp/3500rpm |
最大トルク | 20.5kg-m/1500rpm |
ギアボックス | 5速マニュアル |