異業種からの挑戦 ボルボの自動車デザイナー「ユニークな視点」で未来を形作る

公開 : 2023.06.28 06:45

ボルボ」らしいデザインとは?

――ヘッドライトなどのボルボの特徴的なデザインについてはどうですか?

「わたしは、『トールハンマー』ヘッドライトのような重要なブランド表現は、ある種の神聖なものだと考えています。トーマス(・インゲンラート)はそのようなテーマを導入するという素晴らしい仕事をしました。例えば、より薄いライトブレードを使用できるようになれば、トールハンマーの外観において、さらに技術的で未来的な表現が可能になります」

「トールハンマー」と呼ばれるヘッドライト形状はボルボ車の特徴の1つとなっている。
「トールハンマー」と呼ばれるヘッドライト形状はボルボ車の特徴の1つとなっている。

――では、ボルボの車両デザインを刷新しようとは考えていないのですね?

「ボルボが持つ伝統、フォルム言語による確実性をもって、それを反復し、前進させていくでしょう。その多くはユースケースによって定義され、テクノロジーによって定義されます。しかし、大切なものを無用なものと一緒に捨てるつもりはありません。デザイン言語を新しい時代に移行させるのです」

――ボルボにはステーションワゴンの伝統があります。ワゴンをもう一度美しく作ってくれませんか?

「わたしが言えるのは、ワゴンがセクシーになれない理由はないということだけです。わたし達がステーションワゴンやセダンをデザインするとしたら、優れたデザインでセクシーにできない理由はありません。これは本当に重要なポイントです。わたしの経歴からすると、エクステリアデザインはユーザー・エクスペリエンスにとって二の次になっているような気がします。クリエイティブ・ディレクションはわたしの絶対的な強みの1つです。わたしの名前が書かれたすべてのボルボが素晴らしい外観を持つようにするつもりです」

――競合他社の中には、かなり過激なデザインに移行しているところもあります。あなたも同じことを考えていますか?

「アグレッシブで騒々しいスタイリングという考えは、ボルボのDNAには決してありません。わたし達のデザイン言語は静かで、ある種の謙虚さとエレガンスがあります。都市部で多くの視覚的ノイズに囲まれているとき、そのようなものがあると、その静粛性、自信、知性が際立ちます。率直に言って、過剰なスタイルのクルマが多い中で、ボルボのデザイン言語は、機能に従う形、あるいは合理的なシンプルさの頂点です」

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジェームス・アトウッド

    James Attwood

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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