三菱eKクロスEV 長期テスト(1)数値、まずは置いておいて
公開 : 2023.06.28 07:05
三菱eKクロスEVのテストを担当させていただくことになりましたAUTOCAR JAPAN編集部の上野太朗です。今回は数値を抜きにしたインプレッションです。
まず気になる「走り」
全5回にわたる長期テスト。そのプロローグとして第0話では、なぜ三菱eKクロスEVをテストするかについてお伝えいたしました。
それからしばらく乗り続けることで、三菱eKクロスEVのキャラクターが少しずつ見えてまいりました。
EV、ということを前提とすると、航続距離などの数値データが気になるところですが(データは既にとっています)、AUTOCARをご覧になっている方々にとっては、まず「走り」でしょう。ということで、充電の状態はまったく気にせずに走ってみました。
そもそもeKクロスEVは、その名の通りeKクロス(ガソリン車)をベースとしたEVで、外観はほとんど同じ。ボディカラーやエンブレムなどちょっとしたところでEVであることを主張しています。僕としてはこれみよがしなEVをちょっと恥ずかしいと思うので、控えめなところが好き。
ボディサイズも全くといっていいほどガソリン車と変わりません。ただし車重がガソリン車のFFが850〜880kgの範囲に収まるのに対し、EVは1060〜1080kg。これが走りにどう影響するのかが気になるところです。
もう1つ、数値面で大切なのは価格です。三菱からお借りしている「P」というグレードは2種類のうち高価な方で、掲げるプライスタグは308万円。ギョッとしました。何せ軽自動車だから……。
ただしまずは国の補助金(令和4年度補正予算 クリーンエネルギー自動車導入促進補助金)で55万円安くなる。自動車重量税が減税されて7500円。4月に登録すれば、東京都の場合、自動車税が8100円の減税、自治体の補助金で45万円安くなり、メーカー別の補助金が10万円、再エネ導入の場合は15万円安くなり、車両本体価格は182万円になります。
単純比較にはならないけれど、ガソリン車のeKクロスの一番いいグレードが183万円〜なので、先述の外観と同じく三菱は、ガソリンか電気か、同じレイヤーにある選択肢としてどうぞ、と2台を並べたことがうかがえます。
続いて内装を見ていきましょう。
eKクロスEVの「中身」
いわゆるトールワゴンであるから、およそどんな人が乗ったとしても、頭上スペースに余裕はあるタイプだといえそうです。
たとえば我が家は、僕の身長が172cm、妻の身長も172cmで、それなりに小さくない2人が横並びに座ると、左右方向のスペース的な制約は感じざるを得ないけれど、軽自動車ならではの取り回しの良さに対するトレードオフかなと思えます。
何よりわが家で評判なのは収納スペースの多さ。引き出しにはティッシュボックスがすっぽり入るし、紙パックだってドリンクホルダーが飲み込みます。これだけでも十分なのに、シートの下、ドアのパネルにもどんどんと小物を飲み込む。日本人が日本人のために考えた細やかさだと感じます。
もう1つ評判なのが後部座席と荷室。後部座席を後ろまでスライドさせれば、われわれ2人の大人は足だって組めます。で、降りてトランクに回れば、後ろからシートをガガガっとスライドできて、荷室容量を増やすことも出来る。シートを最も前にスライドすれば、エアバギー(最近のベビーカーって、どうしてあんなに重くて大きくて嵩張るのだろう)を放り込めるし、スーツケースも機内持ち込みが1つ、Mサイズ(71×48×26cm)もその横にもう1つ。がっつり入る。
ちょっとだけ気になるのがご丁寧なアラート類。たとえば目的地について、エンジンを、じゃなかったパワーをオフにして、ドアを開けてクルマを降り、ドアを閉じるまでずっとピーピーピーピーとドアが開いていることを知らせてくれる。障害物を手前から教えてくれる、などは心配性な僕にとって大歓迎だけれど、これはちょっと……。改善に期待。
そんなことがどうでも良くなるくらい、走りはいい。もしよろしければ次ページにお進み下さい。