野性味濃いV12エンジン ランボルギーニ・エスパーダ アヴェンタドール・ウルティマエ 後編

公開 : 2023.07.15 07:06  更新 : 2023.07.15 08:51

最新で純粋な内燃エンジンの技術が展開

エッジーでアグレッシブなボディをまとうアヴェンタドールと、V12エンジンは素晴らしい融合を見せる。バルブトレインとベルトの唸りは、小さくないエグゾーストノートにかき消されない。

半世紀以上の進化の賜物といえるのが、レブリミットの上昇。エスパーダではシフトアップが必要になる回転域から、さらにドラマチックさを強め、アヴェンタドール・ウルティマエでは780psが絞り出される。

ランボルギーニ・アヴェンタドール・ウルティマエ(2022年/欧州仕様)
ランボルギーニ・アヴェンタドール・ウルティマエ(2022年/欧州仕様)

多くのスーパーカーを運転してきたドライバーにとっても、ランボルギーニのV12エンジンが生む体験は特別なはず。最新で純粋な内燃エンジン技術が、これほどストレートに展開されているモデルは極めて珍しい。

乾燥した路面なら、恐怖感と戦う必要はない。知的な四輪駆動システムと電子アシストの貢献は小さくないものの、ドライブモードを積極的な設定へ変えても、ニュートラルな優れたバランスにあることがわかる。エスパーダへ通じている。

アクセルペダルのレスポンスは線形的。V12エンジンのすべてを召喚するには、長いストロークを完全に使い切る必要がある。ブレーキが、強力にスピードを絞ってくれる。

アヴェンタドールは2022年で生産を終えており、最新モデルだという印象は受けにくい。シングルクラッチの7速ATは弱点の1つといえ、耐久性は低くないものの、混雑した市街地では滑らかな変速を得にくい。

ライバルの多くは、先進的で洗練されたトランスミッションを搭載していた。アヴェンタドールが登場した頃から。

スリリングでありながらフレンドリー

インテリアでは、戦闘機のスイッチのようなスターターボタンが気持ちをそそるが、2010年代のデザインであることを隠さない。モニターは小さく、ブラックのプラスティック製パーツが点在している。

とはいえ、開けた道へ足を進めれば、それらはすべて忘れられる。対岸にベネチアを望む海岸線を走るアヴェンタドール・ウルティマエは、スリリングでありながらフレンドリー。非常に能力の幅が広い。

ランボルギーニ・アヴェンタドール・ウルティマエ(2022年/欧州仕様)
ランボルギーニ・アヴェンタドール・ウルティマエ(2022年/欧州仕様)

ステアリングホイールは完璧な重み付けで、コミュニケーションを取りやすい。乗り心地は硬めながら、強い衝撃の角は丸められている。マニュアルモードに入れて、アクセルペダルをしっかり傾ければ、トランスミッションも軽快に仕事をしだす。

乗り慣れて高回転域まで活用できる自信が得られると、非現実的ともいえる動力性能に打ちのめされる。0-97km/h加速2.8秒の勢いは、視界がくらむ。

21世紀に成功を掴んだランボルギーニは、エスパーダと同等の販売期間で、10倍近い台数のアヴェンタドールを生産した。ただし、このウルティマエは600台限定。コレクターズ・モデルとして、将来的な価値は約束されている。

そのうちの15台は、大西洋を航行していた貨物船、フェリシティ・エースの火災事故で消失してしまった。だがランボルギーニは再生産を決め、消沈したオーナーの気持ちを救ったが。

記事に関わった人々

  • 執筆

    チャーリー・カルダーウッド

    Charlie Calderwood

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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