何度も乗りたいスリリングさ ヒョンデ・アイオニック5 N 試作車へ試乗 500ps以上?

公開 : 2023.07.12 08:25  更新 : 2023.07.12 17:38

欧州でBEVへのシフトが本格化してから数年。運転を楽しめるモデルとして開発が進む5 Nへ、英編集部が試乗しました。

最もエキサイティングな1台になる可能性

ヒョンデが開発を進める高性能なバッテリーEV(BEV)、アイオニック5 Nには、まだ不明な情報が多い。最高出力も最大トルクも、駆動用バッテリーの容量も明らかにはなっていない。

それでも、公道とサーキットでプロトタイプを運転した限り、最もエキサイティングな1台になることは間違いなさそうだ。すでにヒョンデは有能なBEVを提供しているが、さらにもう1段階、魅力度が増している。

ヒョンデ・アイオニック5 N プロトタイプ
ヒョンデ・アイオニック5 N プロトタイプ

アイオニック5 Nでは、背が高めのボディの要所要所が強化され、新しいサスペンション・サブフレームが組まれ、タイヤのネガティブキャンバーが強められている。ステアリングレシオはクイックになり、四輪駆動システムの制御にも手が加えられている。

ピレリPゼロのタイヤサイズは、235/35 R21。フロントのブレーキディスクの直径は、同社最大となる400mm。サーキットで楽しむことを前提に、20分の本域走行と、15分の急速充電に対応させるため、駆動用バッテリーの冷却性能も改善されている。

内燃エンジンのホットハッチ、ヒョンデi30 Nでは、エンジンやサスペンションなどの特性をドライブモードで多様に調整できる。どれにしようか迷うほど。このアイオニック5 Nでも、それは受け継がれている。

全開時には500ps以上出ているような加速

トルクベクタリング機能や前後のトルク分配率など、前後に2基の駆動用モーターを搭載するBEVならではの可変性を備えるようだ。エンジン音を模した合成ノイズや、ステアリングホイール裏のパドルによる変速を模した加速感なども、望めば選べる。

ドリフト・モードも用意されるそうだが、今回は助手席に同乗したヒョンデの技術者によって利用を禁じられていた。恐らく、筆者がふざけしすぎる可能性があると、事前に知っていたのだろう。

ヒョンデ・アイオニック5 N プロトタイプ
ヒョンデ・アイオニック5 N プロトタイプ

彼らは、このアイオニック5 Nに奥の深い動的特性を与えたいと考えている。現在のBEVには、ドライビング体験でさらに沢山の喜びを生み出せる可能性が残されていると、わたしも思う。

キアEV6 GTは、コーナーの出口でドリフトに興じれるが、それ以上の奥行きはないといっていい。ヒョンデは、運転する楽しさを大きく前進させようとしている。

ニュルブルクリンクGPコースのストレートで加速させると、アイオニック5 Nは間違いなく速いとわかる。全開時には、500ps以上は出ているような印象だった。

ブレーキはバイワイヤで制御されるが、0.6Gという強力な制動力を発揮させても、終始一貫したフィーリングが保たれていた。回生ブレーキも介在していながら。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・プライヤー

    Matt Prior

    英国編集部エディター・アト・ラージ
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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