気持ちをくすぐるやり過ぎ感 プジョー508 PSEへ試乗 360psのプラグインHV

公開 : 2023.07.10 08:25

大きな飛躍といえるインフォテインメント

新しいインフォテインメント・システムのおかげで、従来以上に運転へ集中できることも美点。i-コネクト・アドバンスドと呼ばれるOSは反応が素早く、ホーム画面は変更可能でわかりやすく、ショートカットキーが10個も並び、操作性は素晴らしい。

アップル・カープレイとアンドロイド・オートにも、無線で対応する。フェイスリフト前から大きな飛躍といっていいだろう。

プジョー508 PSE(欧州仕様)
プジョー508 PSE(欧州仕様)

内装の雰囲気も好ましい。プジョーがクリプトナイトと呼ぶ、蛍光イエローのステッチが随所に施され、現代的で上品だ。ただし知覚品質という点では、BMWなどのドイツ・ブランドには及ばないが。

荷室容量は、ステーションワゴンの508 SW PSEで530L。BMW 330e ツーリングより広く、欧州ではタクシーとしても活躍できる。

CO2の排出量は40g/km。燃費は56.1km/Lがうたわれ、駆動用バッテリーが満充電なら、エンジンを使わず最長54kmを走行できる。この能力も、3シリーズのプラグイン・ハイブリッドに並ぶ。

と、ここまで魅力的な内容が続いたが、最終的な落とし所が悩ましい。サルーンの508 PSEの英国価格は、約5万4000ポンド(約945万円)、ステーションワゴンの508 SW PSEは、約5万5000ポンド(約962万円)に設定されているのだ。

プジョーは近年、上級志向を強めていることは確かではある。だが、少々価格は強気すぎる。操縦性に優れる330e xドライブ Mスポーツ・ツーリングの方が、508 SW PSEより4000ポンド(約70万円)もお安いのだから。

周囲と異なるブランドをお望みなら

508 PSEは実用的で運転が楽しいだけに、なんとも惜しい。精悍さを増した見た目も好印象。それでも、定評を築いてきたドイツ製のライバルを選びたいと、考えてしまう人も多いはず。

予算に余裕があり、有能なサルーンやステーションワゴンをお探しで、周囲とは異なるブランドをお望みなら、プジョー508 PSEは望ましい選択肢になるだろう。より合理的な選択肢、3シリーズのことは忘れれば良い。きっと、幸せな毎日を過ごせるはずだ。

プジョー508 PSE(欧州仕様)
プジョー508 PSE(欧州仕様)

プジョー508 PSE(欧州仕様)のスペック

英国価格:5万3825ポンド(約942万円)
全長:4750mm
全幅:1859mm
全高:1403mm
最高速度:249km/h
0-100km/h加速:5.2秒
燃費:56.1km/L
CO2排出量:40g/km
車両重量:1866kg
パワートレイン:直列4気筒1598ccターボチャージャー+ツイン電気モーター
使用燃料:ガソリン
駆動用バッテリー:11.5kWh
最高出力:360ps(システム総合)
最大トルク:52.9kg-m(システム総合)
ギアボックス:8速オートマティック/シングルスピード・リダクション

記事に関わった人々

  • 執筆

    ヴィッキー・パロット

    Vicky Parrott

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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