歴代最強Sクラス登場 メルセデスAMG S 63 Eパフォーマンスへ試乗 PHEVで802ps

公開 : 2023.07.02 08:25

優れたシャシー技術で敏捷な身のこなし

知的な四輪駆動システムと、電子制御のリミテッドスリップ・デフは、確実なトラクションを生み出す。それでも、みなぎるパワーをパワートレインは完全には受け止めきれない様子。低速域でも高速域でも、不自然な一拍が時折感取された。

V8エンジンは、いかにもな迫力のサウンドを響かせる。ただ、車内にはステレオで増幅された人工音も再生され、若干の違和感があった。お好みでなければ、その人工音はオフにもできるが。

メルセデスAMG S 63 Eパフォーマンス(欧州仕様)
メルセデスAMG S 63 Eパフォーマンス(欧州仕様)

サスペンションには、AMG S 63専用チューニングのエアスプリングとアクティブ・ロールシステムが組まれる。また、3度まで操舵される後輪操舵システムも付く。これらにより、巨大なボディをフラットに保ちつつ、敏捷な身のこなしを実現している。

カーブが連続する区間へ飛び込んでみると、車重を軽く感じさせるほど軽快。ボディサイズもひと回り小さく思えてくる。

乗り心地は硬めだが、衝撃吸収性には優れる。ミシュラン・パイロットスポーツ4Sというスポーティなタイヤが組まれ、引き締められたサスペンションと相まって、路面が荒れてくるとロードノイズは小さくないが、洗練性を霞ませるほどではないだろう。

ちなみに試乗車のタイヤサイズは、フロントが225/40、リアが285/35だった。

伝統のストロングポイントを新技術で昇華

最新のAMG S 63は、多様性をさらに拡幅したといえる。プラグイン・ハイブリッドを受け入れてしまえば、極めて訴求力の高いドライビング体験を享受できる。AMG GT 4ドアクーペより実用性は高く、ラグジュアリーなインテリアはSクラス水準でもある。

ドライブトレインの洗練性も極めて高い。駆動用バッテリーの容量は大きく、通常は駆動用モーターの力で発進するよう設定されている。滑らかで静かに、キビキビと速度を変化させていく様が気持ちいい。

メルセデスAMG S 63 Eパフォーマンス(欧州仕様)
メルセデスAMG S 63 Eパフォーマンス(欧州仕様)

確かに、従来的なAMGのSクラスとは異なる特性ではあるだろう。だが、伝統が築き上げてきたストロングポイントを、新しい技術で昇華し、現代的な魅力へ結びつけていると筆者は感じた。

メルセデスAMG S 63 Eパフォーマンス(欧州仕様)のスペック

英国価格:18万6015ポンド(約3255万円)
全長:5179mm
全幅:1921mm
全高:1503mm
最高速度:289km/h
0-100km/h加速:3.3秒
燃費:22.7km/L
CO2排出量:100g/km
車両重量:2520kg
パワートレイン:V型8気筒3982ccツインターボチャージャー+同期モーター
使用燃料:ガソリン
最高出力:802ps(システム総合)
最大トルク:145.5kg-m(システム総合)
ギアボックス:9速オートマティック/四輪駆動

記事に関わった人々

  • 執筆

    グレッグ・ケーブル

    Greg Kable

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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