技術的に劣る部分はない ハイファイ Xへ試乗 ツインモーターで599ps iXやEQS SUVが競合
公開 : 2023.07.30 08:25
技術的に劣ると感じる部分はない
車内空間は、前席・後席ともに広い。3列目でも、平均的な身長の大人であれば問題なく座れるはず。フロントシートは快適で、調整域も充分。ドライビングポジションは、オフローダーのように背筋を起こすのではなく、サルーンに近い。
内装の質感は、アウディQ8やレンジローバーにはまったく及ばない。だが、ハイファイ初の量産車で、4年弱で設計から量産までこぎつけたことを踏まえれば、驚かずにはいられない。
運転席へ座って問題だと感じたのが、後方視界の悪さ。バックミラーに映る後方の様子はかなり狭い。駐車時などは、バックカメラが大いに活躍してくれる。
さて、一般道を走り出してすぐに、外界との隔離性の高さへ感心した。同時に、ボディの大きさや重さを感じさせない、洗練性も備わっている。
サスペンションやステアリングの印象も好ましく、技術的に劣る部分はないといっていい。車重が2580kgもある電動SUVだから、興奮するような運転体験は得られないものの、操縦しやすく扱いやすい。姿勢制御も良好で、快適に先を急げる。
試乗場所はドイツで、荒れた路面では若干落ち着きが乏しい場面も見られたが、目立った弱点は発見できなかった。アダプティブ・ダンパーが組まれれば、印象は更に改善できそうだ。
元JLRの技術者が関与 成功への確実な出発点
テスラが10年で達成した量産車の水準を踏まえると、ハイファイ Xの完成度の高さには唸らざるを得ない。溢れんばかりのデジタル技術が実装され、走りの質感は優れているとさえ表現できる。成功への確実な出発点になるように思う。
ハイファイを率いる技術者は、以前JLR(ジャガー・ランドローバー)で手腕を発揮した人物。その経験が、Xの開発にも活かされているようだ。
現状は、最新家電などへ強い関心を抱き、中国の新しいプレミアムブランドへ賛同できる、裕福な層だけが選ぶモデルかもしれない。しかし、携帯電話がスマートフォンへ進化したように、自動車はデジタルな移動手段として特長を強めていることも事実だ。
懐疑的に見る人は多いかもしれないが、バッテリーEVが進もうとしている道へ、ハイファイ Xは上手く同調できているように筆者は思う。スマートで快適で、従来とは異なる個性がある。共感できる人へは、大きな充足感を与えるのではないだろうか。
ハイファイ X(欧州仕様)のスペック
英国価格:10万ポンド(約1750万円/予想)
全長:5200mm
全幅:2062mm
全高:1618mm
最高速度:199km/h(リミッター)
0-100km/h加速:3.9秒
航続距離:463km
電費:−km/kWh
CO2排出量:−g/km
車両重量:2580kg
パワートレイン:ツイン永久磁石同期モーター
駆動用バッテリー:97kWh(実容量)
急速充電能力:−kW
最高出力:599ps
最大トルク:83.4kg-m
ギアボックス:シングルスピード/四輪駆動