フォルクスワーゲン・ポロ・ブルーGT

公開 : 2012.07.06 10:00  更新 : 2017.05.29 18:58

■どんなクルマ?

厳しい排出ガス規制をクリアするために、自動車メーカーは様々なテクノロジーを導入し続けている。随分前にはエキゾティックなオプションだったアイドリング・ストップ、ブレーキ・エネルギー回生、低抵抗タイヤなどは今や当たり前になっている。

しかし、フォルクスワーゲンはそれだけで終わらせなかった。更にもう一段上を行く燃料節減型テクノロジーを用意していたのだ。それが、シリンダー・シャットダウン、つまりフォルクスワーゲンがいうところのアクティブ・シリンダー・マネージメント(ACM)だ。

今年の初め、フォルクスワーゲンによってプレビューされたこの技術は、最新のターボ付き1.4リッター4気筒エンジンに搭載された。EA211型というエンジン形式名で、ブルーGTというポロの新しいスポーツ・バージョンに積まれることとなった。

ACMはシンプルであり、大きな容量のエンジンに搭載されているものよりも遥かに安いシステムだ。その構造はシンプルで、中央の2本のシリンダーの上にあるカムシャフトに付けられた電子アクチュエーターによって制御される。

街中の走行および高速道路での走行のおおよそ70%の状況で700cc分のシリンダーがシャットダウンされる。その場合は、2.4kg-mから10.2k-gmのトルクを1400rpmから4000rpmの間で発生することになる。

■どんな感じ?

138bhpのパワーと22.4kg-mのトルクを発揮するエンジンは、熱くそれでいて優雅で、加速感も非常に良い。更に7速のオーバードライブ・ギアのために、高速道路でもリラックスしたクルージングができる。オフィシャルには、ポロの1.2TSIの0-100km/h加速が6.7秒、5速ギアでの80-120km/h追い越し加速が9.5秒だから、ブルーGTはそれよりも遅いはずだが、現実的にはより速い感じがするのだ。もちろん、ポロGTiレベルのパフォーマンスは期待してはいけないが。

しかし、何よりも重要なのは、その経済性だ。フォルクスワーゲンは、その燃費を22.2km/lとし、CO2排出量も105g/kmとしている。ポロ1.2TSIが18.9km/l、124g/kmなのだから、それよりも良い数値である。われわれが約100km、アムステルダムでの高速道路走行でマークした燃費は27km/lであった。これには、ポロ・ブルーモーションから移植されたバンパーやリア・フラップが空力的に良いことの証明もされたカタチだ。

ACMが作動して2つのシリンダーがシャットダウンしていることには気づかないぐらいに継ぎ目がない。僅かにエンジンの性格がかわるぐらいのものだ。バイブレーションも変わらない。4気筒モードに対して、2気筒モードはややうるさい感じがするぐらいだ。そして、強めにスロットルを踏めば、すぐに4気筒モードになり、ブルーGTの本来のパフォーマンスを提供してくれるというわけだ。

■「買い」か?

一気に流れを変えてしまう画期的なシステムなのだろうか。それは確実にイエスだ。シリンダー・シャットダウンは、来るべき新しい消費燃料削減の重要な鍵になるだろう。それも、ハイエンド・モデルだけのものでなく。

9月にデビュー予定の新しい7代目ゴルフのために、フォルクスワーゲンはACMを用意しているという。フォルクスワーゲンは、バイヤーが最新の1.4リッター4気筒ガソリン・エンジンの魅力に気づいてくれることを期待しているのだという。また、同時に新技術がハイ・コストになってしまうディーゼルへの依存を少なくするのにも役に立つことにもなると。

(グレッグ・ケーブル)

フォルクスワーゲン・ポロ・ブルーGT

価格 NA
最高速度 210km/h
0-100km/h加速 7.9秒
燃費 22.2km/l
Co2排出量 105g/km
乾燥重量 1146kg
エンジン 4気筒1395ccターボ
最高出力 138bhp/5600rpm
最大トルク 22.4kg-m/1500rpm
ギアボックス 7速デュアル・クラッチ

関連テーマ

おすすめ記事

 
最新試乗記

人気記事