エスプリアルピーヌを追加 ルノー・クリオ(ルーテシア) E-テックへ試乗 走りの高い洗練度

公開 : 2023.07.15 08:25

ルノーのコンパクト・ハッチバック、ルーテシアがフェイスリフト。1.6Lハイブリッドの仕上がりを、英国編集部が評価しました。

世代交代前にモデル中期のフェイスリフト

ルノー・クリオ(ルーテシア)のような小型車は、存亡の危機にある。環境規制の強化に伴い、開発コストが増大し採算が合わなくなっているためだ。本来は、サイズの大きいモデルより生産時の環境負荷が小さく、エネルギー効率に優れるのだけれど。

実際、40年以上に渡って英国市民の支持を集めてきたフォードフィエスタは、生産が終了してしまった。コンパクトSUVの台頭も、その理由にはあるはずだが。

ルノー・クリオ(ルーテシア) E-テック・エスプリアルピーヌ(欧州仕様)
ルノー・クリオ(ルーテシア) E-テック・エスプリアルピーヌ(欧州仕様)

しかし、レトロフューチャーなスタイリングをまとった、ルノー4とルノー5というバッテリーEVのコンセプトカーは沢山の話題をさらった。まったく新しいクリオも開発途上にあり、スタイリングはほぼ仕上がった状態にあるという。

小さなハッチバックが、途絶えるわけではない。これらに先駆けてルノーは、現行のルーテシアにもモデル中期のフェイスリフトを施した。

現行型は、2023年の欧州の販売ランキングで執筆時は5位に入っている。2019年に発表された5代目は、まだ沢山の支持を集めている。

一方で欧州ではバッテリーEVへの転換期にあって、利益率の低いコンパクトカーに巨額のコストを投じることは難しい。このフェイスリフトが、穏やかな内容のアップデートに留まったとしても、不思議ではないだろう。

大きなスタイリングの変化 装備も充実

メカニズムに関しては、従来とほぼ同じ。手が加えられた部分は、ボディやインテリアのデザインが中心となっている。ショールームでのアピール力を高めるために。

特に、スタイリングの変化は大きい。フロントとリアのバンパー周りを中心に、アグレッシブな処理が施された。LEDヘッドライトはスリムになり、凛々しい表情を作っている。アイラインのようなデイライトも、新鮮な印象を与える。

ルノー・クリオ(ルーテシア) E-テック・エスプリアルピーヌ(欧州仕様)
ルノー・クリオ(ルーテシア) E-テック・エスプリアルピーヌ(欧州仕様)

今回試乗したのは、新しいトップグレードとなるエスプリアルピーヌ。従来のR.S.ラインを置き換えるグレードで、随所にアルピーヌのロゴが散りばめられている。

フレンチ・トリコロールの差し色や、センターロック・ホイール風のセンターキャップが付く17インチ・アルミホイールなども特徴。スタイリッシュにまとまっていると思う。

インテリアには、高品質な素材が贅沢に用いられた。シンプルなデザインのダッシュボードは、驚くほどの高級感を漂わせている。ルノーによると、本皮を用いず内装の60%にリサイクル素材を使用し、持続可能性にも配慮したという。

メーターパネルは、全グレードでモニター式へ変更。ダッシュボード中央には、エスプリアルピーヌで9.3インチ、それ以外では7.0インチのタッチモニターが据えられるなど、装備も充実された。

一方で採算性を高めるため、英国で提供されるトリムグレードは3段階へ絞られた。トップグレードの下に、エボリューションとテクノが設定されている。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジェームス・ディスデイル

    James Disdale

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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