日本初公開 フェラーリ新世代GT3マシン『296 GT3』のディテールを現場からレポート

公開 : 2023.07.04 18:00

500勝の488 GT3に代わる新世代マシン

フェラーリの新型GT3マシンとして送り出された296 GT3が、富士スピードウェイで開かれたフェラーリ・レーシング・デイズで一般公開された。これまでフェラーリは488 GT3と、その発展型として2020年に投入された488 GT3エヴォは、世界のGTレースに挑み500勝を記録するという大成功を収めてきた。

488 GT3に代わる新時代のマシンとして2022年7月に発表されたのが296 GT3だ。ロードカーの296 GTBをベースに、GT3規定に合わせて開発が進められた。2022年4月12日にフィオラノ・サーキットで最初のシェイクダウンを行って以来、296 GT3はレースに向けて何万キロもの距離を走行し、熟成を進めてきた。

フェラーリ 296 GT3
フェラーリ 296 GT3    上野和秀

本稿ではフェラーリ・レーシング・デイズ 2023で公開された296 GT3の各部ディテールを中心に紹介していこう。

エンジン

296 GT3は、6気筒エンジンを搭載したレーシングマシンの復活を意味する。車両規定に従い、296 GTBに採用されていたPHVユニットは搭載されていない。

120度のバンク角を備えるV6のティーポF163CEユニットを、フェラーリ社は「コンパクトな12気筒エンジン」と謳う。バンク間にターボチャージャーを配し、2992ccの排気量から最高出力600ps/7250rpmを発揮する。エンジンは、296 GTBに較べ低く前方寄りの位置に搭載され、コンパクト化、低重心化、軽量化を実現している。

フェラーリ 296 GT3
フェラーリ 296 GT3    上野和秀

新開発された6速ギアボックスは、空力性能と重量配分を向上させるため、横置きタイプとされた。クラッチと変速は電子式で、ロードカーと同様にパドルでシフトする。

シャシー

296 GT3のシャシーは、488 GT3の経験を生かして開発され軽量化を実現している。新構成のアルミニウム製で、ホイールベースは60mm延長された2660mmとされている。

フロントとリアのサスペンションはダブル・ウィッシュボーン式で、高速走行時でも最大限のグリップを発揮する。タイヤへの負担を抑える設計で、グリップ力を確保しながら耐久性を向上させている。

フェラーリ 296 GT3
フェラーリ 296 GT3    上野和秀

ブレーキシステムは新設計のキャリパーとディスク(フロント400mm)を採用。ホイールは488 GT3から採用されているロティフォーム社製で、296 GT3専用の鍛造ワンピースホイールが組まれる。

記事に関わった人々

  • 執筆 / 撮影

    上野和秀

    Kazuhide Ueno

    1955年生まれ。気が付けば干支6ラップ目に突入。ネコ・パブリッシングでスクーデリア編集長を務め、のちにカー・マガジン編集委員を担当。現在はフリーランスのモーター・ジャーナリスト/エディター。1950〜60年代のクラシック・フェラーリとアバルトが得意。個人的にもアバルトを常にガレージに収め、現在はフィアット・アバルトOT1300/124で遊んでいる。

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