日本初公開 フェラーリ新世代GT3マシン『296 GT3』のディテールを現場からレポート

公開 : 2023.07.04 18:00

ボディワーク

実戦で使用される296 GT3のボディワークは整備性を高めるため、フロントとリアは一体に開く構造だ。カウルの破損に対応するため、パネルごとに分割されているのが特徴。

ワイドなタイヤの対応するため前後のフェンダーは拡大され、ホイールアーチ内の負圧を抜くためのルーバーが設けられている。

フェラーリ 296 GT3
フェラーリ 296 GT3    上野和秀

注目したいのはヘットライト性能が大幅に高められ、488 GT3に補助灯を付けた状態以上の光量を誇る。さらにノーズの中央と左右下に補助灯を組み込むこともできる。

デビューはデイトナ24時間

今年の1月に行われたIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権のデイトナ24時間レースが296 GT3のデビュー戦となった。リジ・コンペティツィオーネとAFコルセ、トリアルシ・コンペティツィオーネ、チェティラー・レーシングが4台の296 GTCを走らせたが、熟成不足から不完全燃焼に終わる。

初の総合優勝を勝ち取ったのは、過酷なレースとして知られる5月に行われたニュルブルクリンク24時間レース。最多周回数となる162ラップを記録しての勝利だった。

フェラーリ 296 GT3
フェラーリ 296 GT3

カーガイ・レーシングの296 GT3を展示

フェラーリ・レーシング・デイズに展示されたフェラーリ296 GT3は、現時点で日本に唯一存在するカーガイ・レーシングのGTワールド・チャレンジ・アジア参戦車だ。カーガイ・レーシングは昨年のGTWCアジアとジャパンカップを、木村武史とケイ・コッツォリーノ組がフェラーリ488 GT3で制し、今年から296 GT3にスイッチしたもの。

6月に富士スピードウェイで開催されたGTワールド・チャレンジ・アジアの2023年第2ラウンドが、カーガイ・レーシング・フェラーリ296 GT3のデビュー戦となった。カーガイ・レーシングが投入したフェラーリ296 GT3は、規定の性能調整を受けて本領を発揮できず、トラブルも発生してデビュー戦では苦しいレースとなってしまった。しかし基本性能の高さは確認できており、熟成が進めば本来持つパフォーマンスが発揮できるはずで、今後の活躍を期待したい。

フェラーリ 296 GT3
フェラーリ 296 GT3    上野和秀

記事に関わった人々

  • 執筆 / 撮影

    上野和秀

    Kazuhide Ueno

    1955年生まれ。気が付けば干支6ラップ目に突入。ネコ・パブリッシングでスクーデリア編集長を務め、のちにカー・マガジン編集委員を担当。現在はフリーランスのモーター・ジャーナリスト/エディター。1950〜60年代のクラシック・フェラーリとアバルトが得意。個人的にもアバルトを常にガレージに収め、現在はフィアット・アバルトOT1300/124で遊んでいる。

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