デ・トマソ・ヴァレルンガ

ヴァレルンガは、イタリアのデ・トマソ社が製造した最初の、そしておそらく最も無名の量産車である。1964年に発表されたヴァレルンガは、フォード・コルティナの1.5L 4気筒エンジンの改良型を搭載した、初期のミドシップ車の1つである。

このモデルが上手くいっていれば、直進性能よりもハンドリングに強みを持つ軽快なクルマが長く続いたかもしれない。ヴァレルンガの後継となったのがマングスタで、これもミドマウントのフォード製エンジンを搭載しているが、こちらは4.9L V8だ。デ・トマソは新たな方向に向かい、原点に戻ることはなかった。

デ・トマソ・ヴァレルンガ
デ・トマソ・ヴァレルンガ

DKW F2

F2の名は、前輪駆動を採用したDKWの2番目のモデルであることを示している。1932年にデビューしたが、翌年、DKWがループ・スカベンジング(ループ掃気式)と呼ばれるシステムを採用した自動車およびオートバイ用の2サイクルガソリンエンジンの製造権を獲得したことで、真に傑出したモデルとなった。

ループ・スカベンジングはアドルフ・シニューレ氏(1897-1951)によって発明されたもので、燃料と空気の混合気が入ってきた側と同じ側から排気ガスを出す。この方式は4ストロークでは古風だが、2ストロークでは非常に効果的で、はるかに高い効率、つまり性能と経済性の向上につながった。このような利点により、F2はすぐにDKWの人気モデルとなり、同社をドイツの自動車産業で最も成功したブランドの1つへと押し上げた。

DKW F2
DKW F2

フェラーリ208ターボ

208の外観は308と同じで、とても無名のフェラーリとは思えない。最も重要な違いは、2.9L V8エンジンが1990ccに抑えられたことである。これにより208は大幅に遅くなったが、その排気量はイタリアの税制における2.0Lの基準値以下であるため、非常に安かった。

208の発売から2年後の1982年、フェラーリは同エンジンをターボ化するという妙案を思いつく。これによって最高出力は155psから220psに向上し、1980年にフューエル・インジェクションが追加された後、4バルブ・シリンダーヘッドを採用する前の308を上回った。販売台数は308よりはるかに少ないが、それは208がイタリア国内でのみ販売されたからである。

フェラーリ208ターボ
フェラーリ208ターボ

フィアット1100

1100は、同じく1950年代に登場した2台のフィアット(500と600)ほどには世界の注目を集めなかったが、長年にわたってイタリア人の生活の主役だった。

1953年から1969年まで、セダン、ワゴン、そしてトラスフォルマビレと呼ばれるオープンカーが生産された。商用車仕様は1971年まで販売された。インドではずっと長く生き残り、現地で製造され、今世紀に入るまでプレミア・パドミニとして販売されていた。

フィアット1100
フィアット1100

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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